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才能のなさに、打ちのめされる

岸田奈美さんの文章を読んで、打ちのめされた。
自分の才能のなさに。

岸田奈美さんの文章は、楽しく、すらすらと読めてしまう。
天才か?天才だ!間違いない。

文才とはこういうことか。

誤解を恐れるあまり、「正確に伝える」ことに囚われ、カチカチで、ゴワゴワの、洗濯しすぎたタオルのような私の文章とは大違い。

岸田さんの文章はシルクのようにスルスル、心地いい。
岸田さんのプロフィールに、「100文字で済むことを2000文字で伝える。」と書かれているが、その文字数が、舟を作り、水となり、読み手を岸田家へと運んでいく。

読み手は、ただその舟に乗っているだけで、別の世界を体験できる。
まさに、It's ”the Kishida” world。

岸田奈美さんのような文章を書きたい。
でも、わたしには才能がない。

落ち込む。

頭の中で流れる「もしもピアノが弾けたなら」。古い。

ピアノを前に落ち込む私の前に、現れたのは、建設的な私。

「その落ち込みは、いったい誰の役に立つわけ?」

一人脳内会議がスタート。
かっこよく言うと、クリティカル・シンキング。

できないことや変えられないものに注目していても、嫉妬するか、落ち込むか、誰かのせいにするか、そのどれかしかできない。

いずれにせよ、建設的じゃないし、誰の役にも立たない。意味がないし、何もはじまらない。

私は、動物の行動とトレーニングのコンサルタントとして、動物たちのよりよい生活を手伝い、実現するための、より親切な選択やトレーニングについて、年間のべ何百人という人に講義をしたり、様々な立場の人からの相談にのっている。

「それって、才能でやっているんだっけ?才能なんてあったっけ?」

ないよね?。ない。

自分が才能のない人間であることは、断言できる。この仕事は、才能でやっているのではない。

「でも、自信を持って、話やアドバイスをしているよね?」

確かに、している。お伝えしていることには、自信がある。

「才能もないのに、なぜ自信が持てるわけ?」

それは、明確な目的と根拠と判断基準があるから。
新しい情報を取り入れるときも、情報を提供するときも、その基本を常に参照しているから。

そうか。直面する問題に建設的に対処するためには、明確な目的と根拠と判断基準があれば、いいのか!

文章を書くための、目的と根拠と判断基準を明確にすれば、書ける!

勇気、ふつふつ。

岸田さんの足元にも及ばなくても、カチカチ、ゴワゴワからは、卒業できるはず。

文章を書く目的も、書く文章の根拠も、ある!

私には、日本に広めたい視点がある。

私たち人は、動物のCare Giverで、彼らを手伝い、助ける立場にあるということ。

私たちがケアする動物たちは、人間に都合よく作られた社会の中で、暮らしていかなければならない。それは、彼らが選択したことではなく、私たち人が選択したこと。

彼らにとって、特殊な関わりや環境の中で、よりよく生きられるように手伝うのが、私たちの仕事であり、責任。

人々が、その仕事を理解して、やりやすくするために、役立つ情報を発信するのが、文章を書く目的。

動物に関する情報は、アクセス数や注目を集めるために発信されている。

動物にまつわるニュースや情報は、動物を決めつける言葉をちりばめたタイトルに、個人の印象にに基づく感想が添えられ、センセーショナルに伝えられるか、かわいいかかわいそうかだけ、一時の人の感情を満足させるように表現される。

私たちは、感情的に満足することができる。深く考えなくてもいいし、楽だ。暇つぶしには、最高だろう。

でも、それでは、動物たちが抱えている困難や直面している問題を、正しく理解して、適切に手伝うことは、ずっとできない。

だから、発信するべき。

動物たちを手伝い、いい関係を築き、お互いによりよく暮らすために役立つ、根拠のある情報と倫理的視点を。

書く目的も、書く内容の根拠も、ある。

残りは、判断基準。文章を書くための判断基準。

私には、それがない!

Modern and Ethical Animal Training(最新にアップデートされた、高い倫理に基づく動物のトレーニング)では、動物をケアしたり、トレーニングをするときに、自分の判断や、自分が提供している環境、自分自身がしていることが、適切かどうかを判断するために、動物の行動を指標にする。

行動が繰り返されているとすれば、その行動を繰り返させる環境が存在するということ。その行動が、私たちにとって、望ましいものであっても、望ましくないものであっても。その動物は、その行動を繰り返さざるを得ない環境に置かれているということ。

これは、行動変化の法則。

起きている行動を変えたい場合は、行動と環境の関係を分析して、行動に影響を与えている環境の中の要素を見つけていく。

環境の評価と改善の指標である動物の行動のように、自分の文章が適切かどうか、改善するべきかを判断し、何を改善するべきかを考えるための判断基準が、私には必要なのだ!

脳内会議終了。行動開始!判断基準探しの旅へ出発。

本やネット。日本語、英語。調べました。そして、出会いました、よしかわけいすけさんのこのnoteに。

この中で、よしかわさんが、AO入試のエントリーシートの文章の書き方として薦めている「STAR」に、しびれた。

STARとはSituation、Task、Action、Resultの頭文字を取ったもので、「どのような状況(Situation)で、どのような課題・問題(Task)があり、どのような行動(Action)を起こして、どのような結果(Result)になったのか」を表します。
- 「AO入試対策のフレームワークを作ったら、生徒たちのエントリーシートのクオリティが爆上がりしたので、すぐに使えるスプレッドシートをシェアします。」より

めっちゃ、クリア。しかも、シンプル。すぐに実践に移せる。

書き始めるとき、書きながら、書き終えてから。それぞれの段階で、この基準に照らせば、伝えたいことを、わかりやすく伝えられる!

あとは、練習あるのみ。書いて、チェックして、修正してを繰り返す。体の一部になるまで、繰り返し、繰り返し。

目指せ、ふわふわタオル文章!

犬たちが、よりよく暮らせるよう助け、手伝うことに役立つあれこれを、書いていこうと思います。根拠を示しながら。

あ。きっと、講義で恒例の脱線もあります。

岸田さん、よしかわさん、すばらしいnoteをありがとうございます。