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訪問診療 開業支援日記vol.2

往診と訪問診療の違い

保険点数の違い

 往診を始めると、どのくらいの点数を請求できるのか、レセプトをのぞいてみてください。月2回訪問した時の点数を単純に比較してみましょう。

①通常のクリニックで月2回往診(一軒家・平日昼間)
(1回目)再診料:73点+往診料:720点 = 合計793点
(2回目)再診料:73点+往診料:720点 = 合計793点
【請求】1586点/月

②通常のクリニックで月2回定期訪問(一軒家・平日昼間)
(1回目)在宅患者訪問診療料1:888点
(2回目)在宅患者訪問診療料1:888点+在宅医学総合管理料(月2回以上・単一建物)2750点 = 合計3638点
【請求】4526点/月

 在宅支援診療所(在支診)の届け出をしていない普通のクリニックが行った往診と訪問診療の差は約2.85倍となります。同じようなことをしているようですが、計画的という点でこれだけの点数差が設けられているので、通院が難しくなっている患者がいれば、訪問診療に切り替えるのがお勧めです。(ただし、通院できる人を無理やり訪問診療に切り替えるのはダメです!通院できないというのが条件になりますので注意してください。)
 ちなみに、訪問診療になると様々な加算や上級管理料を算定できるようになるので、実際はこれ以上の点数になっています。

例:私のクリニック(在支診)での月2回定期訪問(一軒家・平日昼間)
(1回目)在宅患者訪問診療料1:888点
(2回目)在宅患者訪問診療料1:888点+在宅医学総合管理料(月2回以上・単一建物)3700点+在宅療養実績加算1 300点 = 合計4888点
【請求】5776点/月

 
上記以外にも介護保険(居宅療養管理指導)の算定や少額の交通費、訪問看護師料などもあるため、一軒家の月2回訪問で約6000点/月の算定となります。前もって計算できてしまうので、患者数や訪問回数で月の収入がある程度予測することも可能です。

言葉の定義

 よく色んな本やネットの記事に書かれている事です。すごく難しい説明で違いを強調していますが、簡単に書くとこんな感じです。

【訪問診療】約束している診察
【往診】約束していない急な診察

 訪問診療は、必ず『前もって第何週の何曜日・午前or午後』のように指定して訪問するものを指します。往診は、患者や家族から連絡があり、そこから訪問した場合のものになります。この程度の理解で十分だと思います。

まとめ

 往診ばかりしていると、同じ時間を割いた仕事でも単価が低いため、より高い管理料を狙いにいくのが普通の経営者の判断だと思います。管理料は訪問回数やクリニックの届け出によって変化するため、この点数表が非常に難解なイメージを作っていると思います。この表が在宅の敬遠される理由のひとつかもしれません。(開業する前、私自身も大変理解に苦しみました…)ただし、よく使う項目はほんの数個しかありませんので、そのポイントを別の記事で解説する予定です。

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