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数え上げるときの観点を決める

カバー写真は、UnsplashNick Fewingsが撮影した写真です。

では、前回に引き続いて小学校2年生の内容を読み解いていきましょう。文部科学省による学習指導要領解説は次のリンクから読むことができます。「算数編」(以下「解説」)の2年生D領域を読んでいきます。

2年生

D(1)簡単な表やグラフ
(1)データの分析に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付ける
 ア:知識及び技能
  (ア)身の回りにある数量を分類整理し,簡単な表やグラフを用いて表したり読み取ったりすること。
 イ:思考力,判断力,表現力等
  (ア)データを整理する観点に着目し,身の回りの事象について表やグラフを用いて考察すること。

「解説」より。読みやすさを考慮して一部の字句を省略している。

まず「知識及び技能」が1年生からどう変わっているか見てみましょう。1年生では「ものの個数について,簡単な絵や図などに表したり,それらを読み取ったりすること」となっています。追加されているのは「分類整理し」という部分だと分かります。

これがどういう意味なのかは、「思考力…」の項目によくあらわれています。1年生では「データの個数に着目し」であったのに対し、「データを整理する観点に着目し」となっています。つまり、どんな観点で整理して数えたらよいかを考えさせなさいと言っているのです。
具体例で見てみましょう。

「解説」に示されているのは、次のような内容が書かれたカードを分類・整理するという課題です。

  • (A)〇〇町、パン屋さん、小さい、お店

  • (B)△△町、タオル工場、大きい、工場

  • (C)△△町、コンビニ、小さい、お店

  • (D)〇〇町、スーパー、大きい、お店

「解説」では(A)(B)しか例示されていませんでしたが、割とどこの小学校でも出てきそうなものとして(C)(D)を追加してみました。このようなカードを、どうやって整理するか、が課題です。
ただ、小学校2年生の子どもに、「分類の観点」なんて言っても通じないでしょうから、最初は教師の方から「どこに町にあるかで分けてみましょう」みたいに働きかけることになります。そうすると、「〇〇町」に2つ、「△△町」に2つ、という表ができます。「ほかに分け方はないかな」と問いかけて、お店と工場で分ける、つまり建物の「種類」で分ける、大きいと小さいで分ける、つまり建物の「大きさ」で分ける、というように、新たな観点で整理して、新しい表を作っていくことになるでしょう。

  • 「〇〇町」「△△町」ーー>【町の名前】で分ける

  • 「お店」と「工場」ーー>【種類】で分ける

  • 「大きい」と「小さい」ーー>【大きさ】で分ける

ここで【  】内で示したのが、分類の「観点」ですね。「〇〇町」「△△町」などが具体的なデータで、「町の名前」はそれらを包括したメタレベルの言葉(カテゴリ名)です。
これを意識させることは、表の題名をつける時に役立ちます。また、3年生で2次元の表を作るときに、表頭に記入するカテゴリ名として使います。

以上が2年生の内容です。やっていることは1年生とほとんど変わりませんが、数え上げるときの「観点」を意識させているところに大きな進歩があります。
観点が異なれば、当然、作成される表・グラフの形状も変わります。こうして複数の表やグラフを作ることで、「〇〇町にはお店が多い」とか、複数の観点を組み合わせた見方が出てくることが期待されます。このような見方は、次の学年以降で学習する、2次元の表(クロス表)の学習につながっていくことになります。

それから、「思考力…」のほうで「考察する」という表現が入っているところがなんとなく進歩している感じがします。これは例えば、「〇〇町にお店が多いのは、駅に近いからだろう」などの、社会科的、あるいは生活科的な観点からの話し合いも想定されているからでしょう。こうしたことは、どんな学問分野にも共通することだと思います。

ちなみに、知識・理解の項目で「簡単な表やグラフ」といっているのは、観点が1つの(1次元の)表やグラフのことだと説明があります。
統計用語としては「単純集計」と呼ばれるのがこれに当たります。


演習問題

名古屋市内の生涯学習センターが、センター利用者を対象にアンケートを実施し、その結果が公開されています。その中から、施設の利用頻度に関する設問の単純集計だけを抜き出しました。これを基に、センター利用者の、利用頻度の特徴を考察してください。

アンケート結果より引用

アンケート結果すべてをご覧になりたい方は、次のリンクからどうぞ。