見出し画像

統計学習の参考になりそうな教材リスト:中学校編

Cover Photo by Wim van 't Einde on Unsplash

NHK for School

小学校のときにもいくつか取り上げました。トップページから「データ」で検索すると、中学校数学「データの活用」の学習に使えそうな番組が3つ見つかりました。それらを見ていきましょう。

12名のクラスで席替えをするのですが、男子生徒Aが、好みの女子生徒Bと隣になる確率を考えています。座席は3人ずつ4列で、端の2列と、間の2列とでは、「隣になる」確率が異なってくることがポイントです。
コインの表裏や、サイコロの目よりも、場合の数を考える時に一工夫必要なところが面白いですね。
最後に発展的な問題が出されていますが、これについては解答は示されません。番組で解説されたことを参考に、自力解決できそうな問題が工夫されています。よくできていると思います。

生徒会長の選挙結果の予測に、出口調査を活用している、という場面が描かれます。出口調査の結果から選挙結果を予想する、という計算部分は正しくなされているようですが、予想そのものは外れています。無作為抽出とは何か、について考えるのによい教材でしょう。
ただし、学校の生徒数が約1000人という設定ですが、母集団としては小さすぎます。(「心理学統計法 '21」では、1万人でも母集団としては小さいため、「本来は有限修正が必要」と論じています。)有限修正は難しい内容であり、少なくとも放送大学の教科書では取り上げられていませんし、私もよく知りません。いい教材をご存知の方はいらっしゃいませんか?

チャリティーバザーでピザを販売し、その利益で学校に備品を、というストーリーです。売り上げ目標を達成するために、過去の売り上げ実績、販売価格、必要経費などのデータをもとに今年の方針を決めよう、という流れで番組が進んでいきます。番組では、「この3人はこう考えました」という一つの解が示されていますが、もちろん、解は一つだけではないはずです。調査や分析の方法と言うより、過去のデータをもとに、どう意思決定をするか、という、正解が1つに決まらない問題です。

教科書会社提供資料

啓林館

指導のポイント集、内容系統一覧、自己評価テストなどが参考になりそうです。内容系統一覧とか、私が作る物よりよほど見やすいかもしれません。

大日本図書

Webコンテンツにアクセスできます。統計関連のコンテンツは3つあります。ヒストグラムの階級幅を変えるとどう分布の形状が変わるか(1年)、乱数表を使った抽出、乱数サイを使った乱数の生成(3年)です。
その他、インタビュー記事も多数公開されています。データサイエンティスト、製薬会社など、さまざまな仕事の場で数学がどのように生かされているかが紹介されています。

日本文教出版

「「データの活用」資料」として、「指導の手引」(26ページ)「指導の初歩の初歩」(34ページ)の2つがPDFで提供されています。後者は、小学校の指導内容から順番に、データの活用分野の学習内容を解説していて、ほんとうに入門の段階から復習したいという大人の学習者の助けにもなりそうです。

教科書を出版している会社はほかにもありますが、ざっと見て、無料で提供されているコンテンツが多いところを3つ取り上げました。
このほかにも、一般の人や学習塾の関係者などが、解説記事や動画をアップしています。すでにいくつか紹介してきていると思います。