近頃のアンプシミュ・プロファイリング事情など

何も書かずして半年くらい経った気がします。
紆余曲折。色々あるものですからそういうこともあるし、
そもそも書くネタがないというのが大きかったですね。

さて、その間何をしていたかというと、音作りです。
特にギターの音作り。
私はKornが好きなのでKornの、特に2016年のRotting In Vainのようなオクターバーを重ねたようなサウンドを目指しているので難儀します。

早速お話に入りますが、昨今のギターエミュレートの世界はいくつかに分かれています。
簡単に分けると、
従来のアンプシミュレータ(AXE、POD、Amplitube、BIASほか)
・AI技術を使ったアンプシミュレータ(Neural DSP、Quad Cortex)
・プロファイリング技術を使ったもの(Kemper、Tonehub、TONEX)
となります。
どれがいいかは一概には言えませんし、好みもあるのですが、
まずは簡単に説明しますね。

従来型のアンシミュ
PODやAXEなんかが代表格で、近年はAmplitubeやBIAS FX、TH-U(の通常機能)、ほかSTLのAmphubなんかもこれです。
基本的には無数のアンプのサウンドをシミュレートしたもので、分かりやすく言えばアルゴリズムリバーヴと同じ立ち位置(演算で作られたもの)になります。はっきり言えば本物ではないが、計算で本物に近づけているという言い方になりますが、時代が進むほどにそのクオリティは本物と肩を並べるに至る一方、デジタルくさいともいわれがちで、頭打ちになりつつもある世界です。

・AI学習を利用したシミュレータ
これはNeural DSPとQuad Cortexについてのことです。
アンプのモデリングという意味では同じなのですがここにディープラーニングを用いたAI技術をしっかり利用している点で、アンプ・ストンプ・キャビネットの特性を学習して再現しているということで、実際そのサウンドはある種革命的ともいえるもので、Architype Nolly(Peripheryモデル)をはじめ、ギタリストといえばのJohn Petrucciモデル、最近ではギター界の超新星、私も大好きTim Hensonモデルなど幅広いアーティストの音を再現するに至っています。

プロファイラー型
Kemperに端を発した新機軸のアンプシミュレート技術で、シミュレートは語弊があると思うのでプロファイルに切り替えます。
私が遣っているのもこのタイプですね。Kemper、TONEX、STL Tonehub(サブスクリプション)、TH-UのRig Playerなんかがこの立場になります。先ほどアンシミュはアルゴリズムリバーヴであると言いましたがこちらはコンボルーションリバーヴに近く、簡単に言えばギターアンプ版IRであるし、もっとかみ砕くと『ある特定の設定上のアンプセッティング・ストンプ・キャビネット/マイキングセッティング』(通称:リグ)をそのまま切り取って出力するものであります。
これで恩恵を受けるのは本来は宅録タイプの人ではなく当初ライブパフォーマーとエンジニアだったと言います。何故かといえばどこであっても切り取られた同じ音が出せる、環境が都度変化するライブという立場でこれほど楽なことはないでしょう。その為か近年のアーティストの機材にKemperが混ざる事なんかも増えましたね。実際プロファイリングのリアリティはA/Bのマスキング比較なんかをしても分かりにくい程肉薄しています。


・じゃあプロファイラー型が一番じゃないの?

と、思われる方もいますが結構プロファイリングの音はそのまま出るとはいえ、ゲインレベルなどもこっちで一緒にしてあげないと同じ音で出てくれない一面もあります。また、自分でプロファイルするのが本懐なので、その場合、理想の音にしたいのであればかなり気を付けることも多いです。特にレベル・感度設定に関しては一定の知識と経験が必要になるのでKemper買ったぞやった!というわけにはいかないです。それならプロが作ったリグを買う方が合理的な使い方かと思います。ですがプロが創ったものもTonehubなんか試してみると判りますがそれぞれの環境で録られたものなので個性が本当にバラバラ。ですから好みの音にたどり着くのも苦戦します。そうなると自分で苦悩しながらリグを作るか、プロが作ったリグで沼るかの二択になります。また、通常型のアンプシミュレータ、AI型のようにアンプ同様のコントロールはあまり効きません(既に切り取られた音であるから)。
キャビネットが操作可能なものもありますが基本的にはあまりリグの音は変化させづらいものだと思ってください。EQ処理などを外部からかけるくらいのことです。ただしその再現度は圧倒的なものがありますので是非安価帯のTONEXやTH-Uを持っているならRig Player(パック別売りで各49$程度)などを試してみることをお勧めします。

・総論
じゃあどれがいいのさ!
と言われると『好きにしてください…』というのが返答になるのですが、なぜかといえば結局は好みが影響しているのと、好きなアンプ、憧れのアーティストのアンプシミュレートがあるかどうかも大きいです。例えばNeural DSPのプラグインはよく利用しますが、Nollyなどを使うのはDjent系やモダンメタルを作りたいなという時で、普段は私が好きなニューメタル系サウンド、特にKornのMunky/Headは共にMesa Boogie/Triple Rectifierを使いますから、少なくともDual Rectifierモデル以上は必須になります。そこに、Mark VとかⅡ+Cのサウンドでは場違いなのはお分かりかと思います。その意味で通常のアンシミュも候補に挙がるわけです。
次に通常・AIのアンシミュは自由度が高いです。アンプのサウンドメイキング、ストンプ、各設定、キャビネットの種類、マイキングポジション、マイクの種類、演算で再現するのですから全部が自由です。必要ならキャビネットだけバイパスにしてIRを読ませても良い訳で、普通の事を言うようですが一括設定してあるプロファイラーでは出来ないやり方ですよね。(中にはキャビ無しのリグもありますが)。

個人的には一番期待するのはまずはTONEXなどのようなKemper系の派生型、他方、Neural DSPだったりします。今はKemperユーザーで時々デジタル感を求めて普通のアンシミュも使いますが、Neural DSPを気に入る一番の理由は好きなアーティストサウンドをシグネイチャーサウンドをAIで学習させている点ですね。昔はテクニカル派に傾倒していてDream Theaterが好きでしたから、Archtype Petrucciの完成度には舌を巻くものがありました。
Tim Hensonも良い音を出していて、Polyphiaならではのあのハーモナイズされたサウンドからアコースティックなサウンド迄出た時は感動しました。
その点で今頭角を現すNeural DSP、頭打ちながら善戦する従来型、比較的発想自体が新しいプロファイラー型。どれを選ぶも自分の好み次第だと思いますが、自分が一体どの方向を目指しているのか、意図的にデジタルサウンドを求める人はデジタルを選ぶも良し、実機サウンドと近似させたいならプロファイラー型を、両方それなりに自由度が欲しいならAIを使うなど使い分けていくとよいでしょう。

何かの役に立つと幸いです。





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