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法学編入試験対策 法学(刑法)の学習法


1.刑法の特徴



 刑法は独特な理論体系を持ち、具体的な事例に法規範を適用する能力だけでなく、法規範を総合的に解釈し、事実関係を正確に評価する能力を身につけるためにも必要です。そのため、学習は一定の難しさを伴います。
 事実関係を法規範に照らし合わせて分析し、それに基づいて法的な判断を下す必要があります。そのため、事実と法規範の関係を適切に理解し、適用する能力が求められます。

 また、刑法の学習には、条文だけでなく、判例の理解と活用も必要です。多くの判例を精読し、その解決策を理解し、自分の思考に組み込む能力が求められます。

2.出題される大学

 刑法は、九州大学・筑波大学・同志社大学などの一部の難関大学において出題されます。
 これらの大学編入を目指す方は、憲法・民法に加えて刑法も勉強しなければならず、勉強量が膨大になる点で難易度が上がります。
 しかし、その難易度を克服することで、深い法的思考力を身につけることができます。ですから、適切な学習方法を見つけて効果的に学習することが大切です。
 

3.刑法体系


 刑法の特性として,非常に理論的であるという点が挙げられます。刑法の勉強を始めると,罪刑法定主義などの基本原理や行為無価値論と結果無価値論の対立など,様々な刑法理論を学習します。
 もっとも,論文試験では刑法理論そのものではなく,刑法理論に対する一定の理解を前提に,具体的事案に適用する能力こそが重要です。刑法理論に深入りせず,自分にあった基本書1冊をしっかり学習し,刑法体系を自分の中に作り上げましょう。
 

4.刑法答案の書き方


 刑法は理論的な科目ですが,答案を書く際にも刑法理論を意識した答案が要求されます。例えば,犯罪が成立するかを検討する際,一般的には,
 ① 構成要件該当性
 ② 違法性
 ③ 有責性
という順序に従って検討することになります。
 答案で①を飛ばしていきなり③から検討してしまうと,刑法理論に対する理解が疑われることになるでしょう。
 
 刑法答案には一定の作法があるので,早い段階から刑法答案をマスターすることが重要です。具体的な方法として予備校講座や模範解答つきの問題集を解くことになるのでしょう。
 

5.分析と評価

 一通り刑法理論の勉強を済ませた後は,「事実関係」を意識した勉強をしましょう。例えば,刑法236条の「暴行又は脅迫」を検討するに際しては,行為者と被害者の性別・年齢・体格や周囲の状況など,様々な「事実関係」に着目した上で,被害者の反抗が抑圧されていると評価できるかを検討しなければなりません。
 刑法の学習をするにあたっては,刑法理論をマスターした後こそが重要なのであり,日ごろから「事実関係」を意識した勉強を心がけましょう。
 

6.やってはいけない学習

 やってはいけない学習として、様々な基本書を参照するなどして刑法理論の学説の学習に集中してしまい、問題演習を疎かにする学習方法が挙げられます。あくまで「事案を解く」目的から離れた学習をしないように注意しましょう。

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