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「光る君へ」雑感〜第30回まで

全何回の放送なんだかさくっと検索してみたけど、どうやら公開されていないようである。

でもさあ、大河ドラマって1月から始まって遅くとも12月には終わるではないの。
月日的にも回数的にもとうに半分は過ぎてるんじゃないか。

すごい!こんなに視聴続いてるわたしすごい!
ちょっとずつ録画で追いかけながらだけど見れてるすごい!

もちろん飽きずに見続けられているのは「光る君へ」がとてもおもしろい作品ゆえに他ならない。

ふと思い立ち雑感をまとめようと思うが、当然第30回までのネタバレはしているので読んでくださる方はご注意ください。
ちなみに現時点で第31回は放送されているがまだわたしは見ていない。
なんとなく30でちょうどいいかなと思って、これ書いてから見ることにしている。

あとですね、わたくし日本文学科で4年間源氏物語を中心に学び、青春してました。
大学の卒業論文も源氏物語を題材に書きました。
大変残念なことに、どんなことを学んでいたかうっすら思い出せる程度にしか頭に残っていないのですが、まったく知らない人よりは若干知っていることが多いです。
そういった意味でのネタバレが含まれることもあるので、重ねてご注意お願い申し上げます。


ほんとに思うのは、よくもまあここまで、紫式部と藤原道長の恋物語についてうまく描き上げているよね!!というところ。

まひろちゃんという、学才はあれど不器用で不実な女が懸命に生きるこのお話が純粋におもしろいです。

視聴前の話なんだが……まず、紫式部と源氏物語が大河ドラマで取り上げられると知ってから、うきうきのわくわくだった。

そしていつ頃だったか忘れたけど、紫式部と道長はどうも恋仲っぽい話になるらしいと聞いて、まーじか、と思った。

う、うん、そういえば、紫式部が道長の召人(めしうど)だった説があったね。
源氏物語にも召人が出てきて、そんとき先生がそんなような話してた気がするわ。

しかしなんというか1年近く放送されるドラマの主人公が召人っていう位置付けは、現代人の視聴者にとっては受け悪そうだけど大丈夫なのかな、と正直思った。
(ドラマを見ていくと、まひろちゃんが分不相応に嫡妻か妾かにこだわっちゃうくだりがあったけど、召人となるとさらに立場としては下……というかもう「妻」でもなくなっちゃうので……)

ただ、平安時代って恋愛関係については現代よりも緩くて自由なところもあるし、どうとでもなるか〜。
っていうか、そもそも紫式部のことなんて、明確にわかることのほうが少なすぎるし、ほとんど創作にするほかなかろうし……。

正直恋愛要素よりも、あの時代の政争ですったもんだしているところのほうがわたしは好きなので、あんまり気にしないでおこ〜。くらいに思っていた。

で、いざ始まってみると初回から「めっちゃフィクションやんけ!笑」と思えるところがいっぱいあって、いい意味で自然と気にならなかったよ。

紫式部と道長の恋云々の前に、まひろちゃんの家が貧乏すぎるとか、まひろちゃんが貴族の姫にしては外に出過ぎとか、ていうか女子顔出し過ぎとか、そういういろんな前提の設定が想像より思いっきり「平安時代はこういう時代だったらしい」と学んできたものとは違っている。

そういえば初回のラストなんか「どえええええ!!!???」って思ったもんね。平安中期結構バイオレンスなエピソードはあったらしいけど、道兼にこんな話あったか!?っていう混乱。なんかもう懐かしいね。

とまあ諸々初回からのこれらは「この物語はフィクションです」という高らかな宣言なのだと受け取った。結構衝撃の初回。

多少なりとも平安中期について勉強したことがあるとひっかかるところは出てくるんだけど、でもたぶん、あんまりよく知らない視聴者に物語として楽しんでもらおうとしたら、時代設定も話の運びも現代に少し寄った理解しやすいものに変えていかないと難しいよなそりゃ。

もっと史学的な観点寄りの話ならなにも大河ドラマ枠でやらんでもいいしな。NHKさんがっつり歴史系の番組作れるもんな。

見ていて一番楽しいのは、やはり源氏物語要素。

初回から源氏物語のオマージュが出てきて興奮したんだが、視聴話数を重ねるごとに「このドラマの紫式部は、自分の経験したことを源氏物語の中に織り交ぜていくんだな」って確信していけるようになっていくのがほんとよくできてた。

源氏物語を想起させるシーンをドラマにうまく入れ込んでくれているおかげで、源氏をかじっている者としては、「まひろちゃんのこれが、のちに源氏物語のあのシーンに取り入れられるのか〜!」っていう見方ができるのね。これが楽しいのなんのって。

これは源氏物語をある程度知っていてよかったなと思うところ。ただわたしは源氏をあさきゆめみし以外で通読していないし、気づけてないところもあるよきっとある。通読できたとしても話長過ぎて全部覚えてられねえし気づけないでしょう。

源氏物語的にも興奮するけれど、枕草子的にも胸熱すぎた。

こんなに清少納言と枕草子がフィーチャーされるなんて思うか?わたしは思ってなかった。
「うた恋い。」が大好きなので……それはもう……うッ……!

だってこれ一応紫式部が主人公の話だぜ?紫式部と清少納言が仲良く交流してんのめっちゃ夢の展開で最高でしたよ……ここもそういえばめっちゃフィクションのところだ。定子さま断髪シーン一緒に見てるのはさすがにくそわろたけども。

こうなると逆に紫式部日記についてどう展開されるのか楽しみ過ぎて震える。

あ、そうそう、う〜んどうなんだろうなあと思っていたまひろちゃんと道長の恋について。

がっっっつり恋愛してるから特に道長が結婚するまでは恥ずかしくなっちゃって見るの難儀した。

それはそれとして……小さい頃に接点があって、それがずっとなんだかんだ結局20年くらい続いてるのすげ〜と思う。

そもそも平安時代てくっついたり離れたりがすごく気軽にあちこちで行われているイメージがある。

このふたりは世間に認められる形ではなく心の中ではずっと想い合っているというのがおもしろい。

ふたりともそれぞれ結婚するし、そっちの関係性は大切にありつつ、お互いへの想いが切れない。道長は特に切れない。ずっとまひろちゃんラブ。

一旦関係が切れてまたよりを戻してを繰り返しているのとも違う感じよね。未練や執着と言ってしまうと全然きれいなものではないけど、そこが人間くさくて結構好き。

ふたりが惹かれ合い、想い合い続けるに至る出来事の積み重ねがきちんと最初からされているから納得ではある。

ふたりともいい大人になって落ち着いてきて、ひっそりと想い合える関係になれたのかな〜と思ったら石山寺での逢瀬事件。わたしこれ最初見たときちょっと笑っちゃったごめん。

みんな賢子が道長の子だと思ってるみたいだけど、これほんとにたしかにそうなの?まだ疑っている。明確に時系列に事細かに出来事を説明されているわけではないので疑っている。

宣孝殿が、まひろちゃんの産む子は誰の子であっても自分の子、一緒に育てるって言ってくれてなんて心の広いやつなんだと現代人のわたしは感心した。

一方平安かぶれのほうのわたしは別段気にしていない。この時代まあまあこういうことありそうだし、まひろちゃんがくそ真面目に不実を告白しちゃってるだけのことかな〜。宣孝殿の言うように、誰が遺伝子的に親であるかどうかはそんなに気にすることではないよね。

源氏物語には不義密通と、当事者たちがのちにそのことを思う悩む描写がある……けれど、帝周辺とかめちゃくちゃえらい人になっちゃってる源氏の嫡妻周りの話であって、道長まひろちゃんの関係性では世間的にはわりとどうでもよい話になりそう。

だがしかしここで、ここまで丁寧に描かれてきた道長の妻たちとの関係という点ではこの不実がおもしろく活きてくる。めちゃくちゃどうでもよくないよ……!?倫子さまは昔からの知り合いでお友だちだし、明子さまはなんかやべえ人だし。

まひろちゃんと道長の関係がこの妻たちにバレてしまったらどうなるの?というドキドキもあるし、バレないならバレないで、知っている人は知っている状況をむふふと楽しむドキドキもあるし、どっちにしろおもしろいのである。

まだこの先見続けないとどうなるかわからないけど、嫡妻ではなく、妾でもなく、そしてどうやら召人でもなく、あくまで作家とパトロン(密かにずっと恋愛関係)(知ってる人は知っている)に着地していくのかな〜。
それともいつか召人的なものになっちゃうのかな。

さてさて、満足したから源氏物語爆誕の回を見ようかな!

ところでわたしは、光る君へとともにYouTubeのかしまし歴史チャンネルを見るのにはまっています。

博識なスピーカーきりゅうさんが教えてくれる歴史文学情報がおもしろすぎて、光る君へをさらにもっとおもしろく感じることができる。
あ、それわたしも知ってる〜!そうよねそうよね!という部分があるとちょっと嬉しくなる。

役者さんの演技に関するお話や脚本の妙については、そこまで読み取れるのかすご〜い!と感心することばかりです。それらをまたきちんと言語化して語れるのがとてもすばらしいと語彙力のないおたくは思ってしまう。

は〜まだまだ今年は先にお楽しみが待っているのかよ。最高だぜ。


ちなみに一番すきな登場人物はまひろちゃんの弟の惟規くんです。
かわいい!

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