マガジンのカバー画像

短編小説集

18
屈橋毬花の短編小説を掲載していきます。 あらゆるジャンルの話を掲載していきますので、是非、アナタのお気に入りを見つけてください。
運営しているクリエイター

#ショートショート

酔わずとも抱きしめて【短編】

失敗した。 やらかした。 ホテルで独り、枕を濡らす。 一人暮らしをする彼の部屋で、ひとつ…

【短編】ミルクは先か後か入れないか。

 日の光が遠慮がちに差し込む窓。  仄かな光が陰影を鮮明に浮かび上がらせ、テーブルの上の…

【短編】苦いままでいい。-後編-【『ミルクは先か後か入れないか。』CP話】

 早めに終わった大学での時間。いつもより長く居られると踊り出しそうな足で向かった喫茶店。…

【短編】甘いのがお好きで?-前編-【『ミルクは先か後か入れないか。』『苦いままでい…

 業界が仕向けたイベントだと分かっていても、やりたくなる、やらなければならないと思わせる…

【短編】雨の日晴れ顔

 小さな水滴が一粒、私の頬に触れる。  そして、一粒、また一粒と、私も私もと雫らが頬を撫…

【空展】隣の芝生も青い ▽屈ノ丞

 言葉にならない感情を何にぶつけても許される年頃は、当の昔に過ぎた。だからといって、行き…

3FacE
3年前
12

【CAKE展】僕は今夜、彼女のティラミスを【屈ノ丞】

 暗めの紅い壁紙。しっとりとしたジャズ。渋めの木材の天板と黒のアイアン脚でできたテーブル。カウンター席には、テーブルと同じ椅子。他のテーブル席には、暗めの色のふかふかのソファ。席によっては、ふわふわのファーまで付いている。  日が顔を出している間は、日の光が優しく店内を漂い踊り、日も落ち切れば、灯りは天井にちらほらと吊り下げられたガラスとアイアンデザインのアンティークランプだけ。カウンターに置かれた幾つかのコンポート皿の上には、目を離すことができないほどの素敵な洋菓子が可愛ら

【短編】キャンドルでまた会おう。

 僕にはお盆休みの日だけ、彼女が来る。  遠距離の彼女はお盆休みになると必ず僕の家を訪ね…

【短編】Unwanted

 なあ、知ってるかい? ここらじゃ有名な話だよ。数年前に、両親を亡くした母親に殺されかけ…

150

【短編】赤い人は来なくとも。-前編-

 頬を撫でる風が、ツンツンと私の頬をつつく。  吐く息が白くなるのも、あと数日のことだろ…

【短編】赤い人は来なくとも。-後編-

〈……どうしたの?〉  返事が返ってこない不安が私の裾をついついと引っ張った。メッセージ…

【短編】濡れたミラーボールの下で。

 晴れているのに、雨が降る。  そんな日が稀にある。  雲は少し多めだけど、チラチラと降る…