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国民健康保険料が高い

独立開業し、何とか軌道に乗せて2~3年、少し余裕が出てきたかなというタイミングでやってくるこの問題。
よく相談を受けることが多いので記事にしてみました。

そもそも国民健康保険とは

日本は国民皆保険制度(「全員公的保険に入ってね」という制度)を取っているため、基本的には健康保険か国民健康保険に加入する必要がある。
健康保険はサラリーマンが会社で加入する保険であるため、基本的に自営業(フリーランス)は国民健康保険に加入することになる。

国民健康保険は高いのか?

国民健康保険料の割合は所得に対して約12%(※介護保険対象者の場合、自治体によって異なるのであくまで一例)、一方、健康保険の割合も約12%(※こちらも健康保険組合や地域によって変わるのであくまで一例)、ただし健康保険の場合は労使折半(半額は会社が負担してくれる)なので本人の負担は半額。所得に対して割合を掛ける国民健康保険料と、給与の金額に対して割合を掛ける健康保険料とをそのまま比較出来ないところもあるが、基本的には勤務時代よりも増えることが多いだろう。
※開業直後は事業が軌道に乗るまで所得が低い(=保険料が低い)のであまり気にならないことが多い。

対策は?

最初にお伝えした通り、日本は国民皆保険なので、「どこにも加入しない」というのはナンセンスだ。(※保険料を払わないで「加入を拒否している」と言うのはリスクが高いのでお勧めしない)
現実的に下記のいずれかの方法を検討することになると思われる。
① 健康保険に切り替える(就職する)
② 国民健康保険組合に加入する

対策その1 健康保険への加入

会社の健康保険に加入すれば元に戻ることになる。
廃業しろと言っているわけではなく、雇用契約で働く仕事と並行すれば良いという話だ。
特にエンジニア系からの相談でよく見かけるが、雇用契約で働く場合と請負契約で働く場合が同じぐらいの頻度で起きる仕事もある。
なので、業種によっては「個人事業を行いつつ、一部の仕事は会社勤務」が可能だ。
会社の健康保険の加入対象になるには最低でも週20時間以上の勤務が必要で、さらに会社側は会社負担の保険料が発生するため、加入のハードルは高いが独立するだけの能力があれば条件次第で応じる相手もいるだろう。
一部で「マイクロ法人」と呼ばれている方法もある。
「雇ってくれる会社が無いなら作ればいい」という発想だ。
代表者は基本的に健康保険の加入が必要なので、自分で会社を作って社長になり、会社の仕事(※個人事業と同じ業務を法人でも行うというのは税務リスクがあるのでお勧めしない)をすることで少額の報酬をもらう、「健康保険は役員報酬の金額を元に計算するから保険料は国民健康保険よりも少額になる」という寸法だ。

対策その2 国民健康保険組合に加入する

そうは言っても、「都合よく社保に入れてくれる会社なんか見つからない」「会社を設立して運営するのはそっちのコストがかかる」という方もいるだろう(というかそっちの方が多いと思う)。
最初に説明したのは自治体の国民健康保険の例だ。
実は居住自治体によって微妙に国民健康保険の負担は違う。
負担割合の一番高い自治体と低い自治体では倍近く変わるのだ。(東京都は比較的安い部類には入る)
かといって、保険のためだけに引っ越すわけにもいかない。
その場合には、国民健康保険組合への加入を検討してみると良いかもしれない。
国民健康保険組合は、自営業の同業者が集まって作った同業者団体がさらに集まって作っている組合で、自治体とは違う設計になっているため、組合や所得金額によっては自治体の保険よりも安くなることがある。
個人的にお勧めなのが「文芸美術国民健康保険組合」だ。
文芸美術国民健康保険組合 (bunbi.com)
家族構成や年齢によって変わるが、所得金額が300万円を超えるのであれば自治体よりも保険料が安くなる可能性が高い。
組合の加盟団体の会員である必要があるが、創作系の業種であればかなり広い範囲をカバーしている。

国民健康保険の通知は所得税と住民税が確定して気を抜いたタイミングでやってくる。
そのため所得税・住民税よりもショックが大きい。
保険料に絶望したら上記を検討してみても良いかもしれない。



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