![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93216148/rectangle_large_type_2_d19e70ffcebff2431a8fc512438a3649.png?width=1200)
あさのあつこ 母について オヤジとおふくろ
著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、あさのあつこさん(作家)です。
![](https://assets.st-note.com/img/1670909936514-OBpRLuoh6P.jpg)
あさのあつこ氏 ©文藝春秋
母について語れと促されるたびに、いつも戸惑いと躊躇いと後悔とが綯い交ぜになったような、それでいて、ちょっと懐かしいようなヘンテコな気分になる。
母は、もう……あれ、何年前だったっけ? ともかく数年前に亡くなっている。亡くなった月は覚えている。五月だ。あの年は、四月に義母を見送っており、桜の頃から青葉の季節が過ぎるまで葬儀だ、初七日だ、満中陰の法要だとドタバタしていたのも覚えている。
母は八十……あれ何歳だったっけ? 親の享年は覚えていない。ともかく、日本女性の平均寿命を少し超えていたのではなかろうか。そのわりに骨は立派だった。
骨上げの時、見事と形容して差し支えない大腿骨にわたしは息を呑んだ。
これが、わたしの骨よ。と母が誇っているような白くて太くてしっかりしたものだったのだ。
母はそういう生き方をしてきた。
ここから先は
558字
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54742002/profile_a2d1bc9047964b0b316ead227fc29140.png?fit=bounds&format=jpeg&quality=85&width=330)
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju
文藝春秋digital
¥900 / 月
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…