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100年後まで読み継ぎたい100冊 角幡唯介「大自然に生きる」

文・角幡唯介(探検家・作家)

大自然に生きる

はじめに個人的な話をすると、狩りや釣りを中心に活動するようになってから空間の捉え方がかわった。

それまでの登山や極地冒険では、山頂や目的地をめざして無駄なく直進的に行動するのが普通だった。こちら側の意志にもとづく計画があり、それにしたがい自然のなかを剪断しながら突き進むという行動原理だ。

しかし狩りや釣りでこのやり方をするとうまくいかない。山頂のような不動の一点ではなく、つねに動きまわる獣や魚が相手で、向こうの生態や習性にこちらの行動をあわせないといけないからだ。土地の表面をただ移動するだけでなく、土地の内奥をながれるフローに、みずから率先して組みこまれるという態度が必要になるのである。

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