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野球:配球(リード)の世界

こんにちは。

本日は『配球』について書いていこうと思います。

まず配球とは何か?

野球で、打者に対する投手の投球の組み合わせ。球種・コース・高低・球速などを変化させて組み立てる。(コトバンク大辞林第三版)

とありますが、実際は投手だけではなく、投手と捕手、すなわちバッテリーで考えて組み立てるもののことを配球といいます。

それではもっと深く配球の世界に入っていきましょう。

配球は確率の世界?

配球で大事なのが、『1番打たれにくい球種とコースは何か?』を考えることで、必ずしも『完全に打たれない』ものではないことを理解しておかなければなりません。

ということは配球とは確率の問題であるといえます。

ではその打たれない確率を上げるためにどういう情報が必要なのか?を考えることが1番有効な方法です。

それを考える前にまずは配球勝負の場面についてお伝えしていきましょう。

配球は誰と誰の勝負?

まず配球とは①バッテリーvsバッターと②チームvsチームのときがあります。

①は誰にでもわかると思いますが、野球のピッチャーvsバッターの勝負の世界のことです。

では②はどんなときかというと、例えばスクイズやエンドラン、バントなどの場面のときです。

これは大抵攻撃側のチームの指揮官からサインが出て、選手がそれに応える形で成立します。

それにともなって、守備側も『スクイズでくるかもしれないから1球外せ』、『エンドランでくるからインコースに投げろ』、『バントだろうからバントのしにくいインハイに投げさせろ』などのサインを指揮官がキャッチャーに送ることがあります。

だからチームvsチームの配球勝負と言えます。

チームvsチームの場面は少し特殊なので今回は考察から外すことにします。

それでは配球の確率を上げるためにはどうすればいいかを順を追って考えていきましょう。

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配球の世界:その1【相手の情報を知る】

まずプロ野球や独立リーグなどリーグ戦を行う際や、高校野球などの一発勝負のときに有効に働く手段です。

対戦チームの全バッターの今までの打席を調べ、その打者の傾向を知ることで配球を考えていくものです。

例えばプロ野球では、過去数試合の打席情報をスコアラーのかたが持ち込んできてくれます。

その情報は事細かになっていて、ストライクゾーン9分割+その周りのボールゾーンの情報を見ていきます。

カウントやランナーのあるなし、球種など様々な状況ごとにその打者の特徴を分析していきます。(下記画像の黒実線がストライクゾーン、赤枠は甘いコースとなっています)

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例えば、①初級を振る確率②追い込まれてから待つ球種の傾向③コース別得意不得意④空振りが多いコースや球種⑤ヒット確率の高いカウント、など全ての情報を処理し、1番確率の低い配球を考えていきます。

ただし試合は生き物ですから、その通りに行く場面などあまりないので臨機応変に組み立てを変える必要があり、だからこそ、相手打者の情報は少しでも多く持っておくことが大事になってきます。

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配球の世界:その2【ピッチャーのタイプで考える】

配球を考える際、ピッチャーが右投げなのか左投げなのか、またはオーバースロー、スリークォーター、サイドスロー、アンダースロー、のどの投げ方なのか、持ち球はなんなのか、で決めることもあります。

例えば右投げオーバースローで持ち球が150km/hのストレートとシュート、フォークだった場合を考えてみましょう。

相手が右バッターの場合、🅰️ストレートと内角に食い込んでくるシュートでファールを誘い追い込みフォークで仕留めるパターンと🅱️ストレートとフォークの高低差を使い追い込んでからシュートで詰まらせるパターンなどが考えられます。

例えばこれが左投げスリークォーターで持ち球が140km/h前後のストレートとスライダー、チェンジアップの投手だったら攻め方は違いますよね。

これが投手のタイプで配球を決める、ということです。

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配球の世界:その3【配球をパターン化する】

投手によってスタイルというのがあります。

例えば僕の場合、コントロール重視で抑えるタイプでインコースのストレートが生命線です。

インコースのストレートが必ず来る、と相手打者に思い込ませるとその時点でピッチャーの勝つ確率がグンっと跳ね上がります。

なぜなら、その裏をかけばいいからです。

初球、インコースストレートでボール。

2球目、スライダーで見逃しストライク。

3球目、スクリューで空振り。

じゃあ4球目は??

打者の頭には初球のストレートが頭に残っていますから、インコースにストレートだと思わせるような別の球種を投げるか、アウトコースで勝負するか、といったように投球に幅ができますので投手の心理的にも相当楽になります。

この場合、ストレートで押せるような打者ならインハイにストレートで空振りを取るか、インコースにストレートと同じような軌道のカットボールを投げて空振りを取るか、アウトコースにストレートを投げます。

なぜこの3パターンかというと、この3種類の場合、少し投げミスをしてもファールになる確率が高いからです。

配球とは抑えることも大事ですが、投げミスをして、たとえ打たれても大きなケガにならないように考えておくことも必要です。

これは大切なので覚えておくといいでしょう。

少し話が長くなってしまいましたが、配球をパターン化するとは、上記のように『このピッチャーはインコースのストレートが生命線だ』と思わせるような配球をする、ということです。

あともう1つパターン化について書いておきます。

それは、得意なパターンを練習しておく、という考え方です。

まずは自分の投球スタイルで1番効果的であろう配球パターンを考えることから始めます。

僕を例に挙げて考えてみます。

ストレート:最速148km/h、平均球速130後半から140中盤。持ち球:カーブ、スライダー、カット、スクリュー。ストレート、スライダーがストライクを取れる確率が高い。空振り率は、スクリューが1番高い。

上記のような情報だとします。

ここから配球を考えていきます。

「ストレートとスライダーのコントロールがいいのでこの2球種を軸に追い込み、最後は空振り率の高いスクリューでフィニッシュというパターンが自分の中で一番自信がある。」

となったとしたら、あとはピッチング練習のときにそのパターンを練習するだけです。

限りなく実戦に近い練習のほうがいいので、カウント0-0からスタートして三振を奪うまでをシミュレーションしましょう。

例えばそれがなかなか決まらない場合は、少しパターンを変えてみて練習するといいですね。

こういう練習をしていれば、たとえピンチになってもメンタル的に安心して自信を持って投げられますから抑えられる確率も上がるという効果も期待できます。

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配球の世界:その4【配球の基礎知識を活かす】

ここで配球の基礎的知識を一緒に勉強していきましょう。

今までは投手のスタイル、バッターの情報などから配球を考えていきましたが、ではそもそも打たれにくい配球とはあるのか?と疑問を持つかたもいると思います。

まず配球を考えるときに知っておきたいことは『人間は錯覚を起こす生き物である』ということです。

ピッチャーが簡単にバッターを抑える方法はバッターに目の錯覚を起こさせることで、フォーシームチェンジアップなんかはそれにあたります。

配球も同じで、目の錯覚を起こさせるようにすれば抑える確率が上がります。

では具体的に見ていきましょう。

配球の世界:その4-1【目の錯覚】

一言で結論をいうと【甘め⇒厳しめ】です。

バッターは甘いコースからどんどん厳しいコースに攻められると、かなり自分から遠くに感じます。

これが目の錯覚ですね。

逆に厳しいコースから甘いコースに投げると簡単にヒットを打てて、投手としては被打率がかなりあがってしまいます。

プロ野球の2軍選手が昇格してきて1軍の試合で打たれるのは、初球に良い球を投げすぎてフィニッシュボールが甘くなるパターンがほとんどです(^^;)

じゃあ特に目の錯覚を起こしやすい配球は?というと、

❶初球真ん中ファール❷2球目インコース甘め見逃し❸アウトローいっぱい見逃し

これが最強ですが、初球から真ん中に投げるのは怖いですよね??

だから基本的に追い込むまでは低さだけを注意(高低を意識)して、フィニッシュボールが1番厳しいコース(コース高低を両方意識)に決まるように組み立てていくのがいいでしょう。

まとめると、

配球の基本は甘いコースから徐々に厳しいコースに投げていくことで、言い換えると、バッターに目の錯覚を起こさせることである

となります。

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配球の世界:【ボールカウントの性質と心理】永久保存版

ここからは永久保存版のボールカウントの性質と投手心理、打者心理を解説します。

打者の場合、メジャー式の少しだけ動く変化球が主流になってきている分、この心理を知っていると相手の狙い球や投げてくる球種がわかるので非常に強みとなります。

投手の場合は、打者がどのような心理で待っているかがわかると不用意な1球を投げてしまうのを防げるため、いらない失点が減ります。

それでは少し長くなりますが、カウントごとに投手、打者の順で解説していきます。

【カウント:0-0(※カウントはボール・ストライクの順)】

投手

・積極タイプか待機タイプかの判断をする

・打者は自分の好きな球種、ゾーンで待っている。アウトローや変化球は見逃し確率が高い

・前打席、前対戦との関連で狙ってくる(データ活用)

・甘い不用意なストレートは痛打される可能性が高いので注意

・作戦(サインがあるかもしれない場合)、打者の反応を必要とした場合はボールから入っても良い(様子見)

打者

・相手に手の内を見せていないので有利

・積極的に狙っていい

・長距離打者は真ん中から内角気味のストレート系を待つ(詰まらないこと)

・タイミング、狙い球が合わなかった場合はやめる

・初級狙い球は根拠をもって思い切り迷わず、失敗を恐れずに振りぬく

【カウント:1-0(1ボール0ストライク)】

投手

・2-0にできない、変化球のカウント球はストライクをとりやすい

・1球目の打者の反応を活かす

・超積極的打者に対しては凡打ゾーン(ストライクからボールになる球)で打ちとりにいく

・相手チーム作戦カウントであることを覚えておく

打者

・難しい球、またはタイミングが合わない時は見逃す余裕をもっておくこと

・選球眼が大切、2-0になると優位に立てる

・相手のカウント球(変化球)を研究しておく

・作戦カウント

【カウント:2-0(2ボール0ストライク)】

投手

・球威で勝るか、カウント球の球種を使ってカウントを稼ぐ(精度の高い変化球を選ぶ)

・ファールゾーン(打ってもファールにしかならない)で稼ぎたいときは3-0を覚悟する

・次打者・得点状況を考え、不用意に甘めに投げないように注意する

・打者心理として「2-0で打ち損じたくない」という消極的な気持ちが働く

・制球力があれば怖さを感じないカウント

・相手チーム作戦カウント

打者

・カウント球を研究し狙い球にしても良い

・投手はストライクをほしがる

・狙い球をしっかり決めてそれ以外がきたら振らない

・インコースストレートは確率的に少ない

【カウント:3-0(3ボール0ストライク)】

投手

・続けてストライクを投げる制球力が必要

・打ってくる打者か待つ打者かを判断し、打ってくると判断した場合は変化球やコースギリギリを狙う

・基本的には開き直って、しっかり腕を振って真ん中にストレートを投げる

打者

・ベンチからの指示に従う

・パワーヒッターは狙い球をしぼりフルスイングでOK

・迷った場合は振らない

・打つときは中途半端なスイングをしないこと。それでアウトになると投手を乗せてしまう。

・確率的にインコースストレートは少ない(逆球でくることはある)

・制球力が高い投手の場合は、アウトコースに目をつけて狙ってもいい

【カウント:0-1(0ボール1ストライク)】

投手

・0-2の親戚とおもって厳しいコースに投げる

・打者はまだ追い込まれていないため思い切りのいいスイングをしてくる

・サインプレー、内角球、探り球のチャンス

・次の球の布石として考えて投げる

・勝負球にしてもいい

打者

・狙い球がしぼりにくいカウントであるため、コースにしぼって狙うほうがいい

・内角球に注意

・追い込まれる前の勝負カウント

【カウント:1-1(1ボール1ストライク)】

投手

・打者は打ち気。それを利用しての凡打ゾーンへの変化球、落ちる球が有効

・走者1塁では2-1にしないこと(※投手が次に3ボールにしたくないので作戦と絡めてくる確率が高くなるため)

・2球投げた後の打者の反応、考えを読み取ることが大事

・作戦カウント

打者

・2球見たので相手の配球傾向が少し見えてくる

・追い込まれると不利になるため集中する。凡打ゾーンの誘い球に乗らないよう注意

・投手の得意球に絞るのもあり(無難な読み)

・作戦カウント

【カウント:2-1(2ボール1ストライク)】

投手

・打者有利カウントのため打者は打ち気。その心理を利用した攻めもいいが、3-1になる覚悟も必要

・得意球、相手打者の弱点、狙いを外す、カウントを稼げてリスクの低い球、かの選択。

・走者1塁、または1,2塁の時は3-1にしないこと。自動的にラン&ヒットをかけられてしまうので外野が刺せなくなる。

・作戦カウント(サインの最もでやすいカウント)

打者

・打者有利カウント

・選球眼のみせどころ。ボールに手を出すと投手を助けてしまう

・狙い球よりもコースに絞る

・作戦カウント

【カウント:3-1(3ボール1ストライク)】

投手

・長打ケアのときは高めの甘い球は厳禁

・制球力、テクニックが問われる

打者

・カウント球を研究しておく

・投手はストライクを欲しがるため絶好のバッティングチャンス

・難しい球には手を出さないよう集中

・好きな球、確率の高い球に狙いをしぼり振りぬくこと

【カウント:0-2(0ボール2ストライク)】

投手

・目的と決意をもって中途半端に投げないこと(ボールでも良い)

・コントロールミスをするならボールゾーンに

・意味のない釣り球などは投げない

・打者心理として「勝負か外すのか」で迷っている

・次の球が活きる球種、コースで勝負

・アウトローで見逃しをとれる確率が高い(打者が迷っているため手を出しにくい)

打者

・フルスイングは避けたほうがいい

・軸足にいつも以上に意識を持ち「タメ」を作り、広い範囲で対応できる状態を作ることが重要

・変化球をマークしながらストレートをカットか、ストレートマークの変化球対応かを、自分と相手投手との力量を図って判断することが必要

【カウント:1-2(1ボール2ストライク)】

投手

・まだ3球勝負できるという余裕をもつこと

・迷いなく勝負できるカウント、しっかり腕を振りぬくことが大事

打者

・0-2と同様、幅広い対応力が大事

・追い込まれたからといって失敗の恐怖は持たなくていい。相手投手も投げミスする可能性がある

・見逃し三振はさける、投手を勢いづかせるため

・好投手との勝負は読みと勘で思い切り勝負する。(ほぼ打てる球がこないため広く待っていると抑えられてしまう)

【カウント:2-2(2ボール2ストライク)】

投手

・投手能力が問われるカウントといってもいい

・走者がいる場合は特に3-2にしないよう注意するが、3-2にしたくないという消極的な考えは捨てる(打者も狙ってくるため)

・作戦カウント(2-1と同じ)

打者

・作戦カウントのためサイン間違い、見落としはしないよう注意

・選球眼が問われる。なんでもかんでも振りにいくと投手の思うつぼ。

・4球はみているので配球の傾向を読んでの対処も可能

【カウント:3-2(3ボール2ストライク)】

投手

・バッテリーの力の見せ所

・状況の確認はすること(無理に勝負しなくてもいいのか、この打者を抑えないといけないのか次打者やイニング・得点状況を見ての判断)

・ストレート1本の勝負は危険

打者

・選球眼が最も発揮されるカウント

・統計的にやや打率があがるカウント

・投手心理はボール球を投げたくない

・ストレート系が多くなる

・ストライクゾーンでの勝負が多い(カット系、スラット系の小さい変化球も増える)

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野球を知るうえでも大事になるカウントごとの知識です。

プレイヤーとして上達したいならこういう技術以外の勉強もしておくほうが確実に良いでしょう。

投手でなくても作戦カウントかどうかを予想しておくことで一歩目の判断が早くなります。

まとめ

いかがでしたか?

配球の世界を楽しんでいただけたでしょうか??

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それではまたお会いしましょう。

さようなら。

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