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みつめろ!ひょうげんの森

この例の期間中、執筆もろくに進めんと「しそちょう島」に籠っております。もちろん「あつまれ!どうぶつの森」の中の島です。

今回はこの1ヶ月間にあつ森をプレイしてきた中で考えたことについてお話します。表題のとおり、あつ森の中で私は自分の表現について認識を改めることになったわけです。

それでは、初期から順にプレイの記録たるキャプチャ画像……、というか実感としては「写真」……を見ていきましょう。

あつめろ!はくぶつの森

小説の執筆にやや行き詰まりを感じていた上に、取材元である動物園・水族館・博物館がほぼ全て臨時休場、それどころか単に出かけてもいけない、というタイミングでどうぶつの森が流行り出しました。

博物館の見事さがまず目を引いたのですが、空間を作り上げるゲームには興味があったもののマインクラフトなどには手が出なかったところに、もっとずっと手軽に美しい空間を作り上げられるというのですから、逃避先としてはうってつけでした。

プレイして数日、操作そのものに慣れたところで、まずはこれです。

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右側のヤシの葉から覗いている灯りは博物館の入り口です。マイルりょこうけん(得点を貯めて入手できるアイテム)で離島に行って、ヤシの実か木そのものを手に入れることで初めて、このようにヤシを砂浜に植えることができます。左側のタケも同様です。

利便性を考えて自宅や博物館を配置したものの博物館が海に面していて、津波でも来たらひとたまりもないなと思って(そんなの来ないんですが)このように博物館の前に木々を集めたのです。

ヤシやタケのようなゲーム中で珍しい種類の樹木が集まり、博物館の前はまるで植物園のようになりました。

博物館の中でも昆虫生態園の温室は植物園のようにも見える造りなのですが、植物の解説はなく、館外の植物との関係も不明です。つまり博物館には植物部門はないといえます。

そこで、自分が勝手に植物部門を受け持とうと思い立ち、先の写真のようにマイデザイン(テクスチャーとして使用可能なドット画像を作成する機能)で樹名板を作成し、木々に添えたのです。ヤシ→ココヤシ、タケ→マダケのようにゲーム中の呼称より種同定を詳細にしています。

(余談……この時点でいかにもソメイヨシノのような花の咲きかたをしたため「こうようじゅ→ソメイヨシノ」としましたが、どうも秋になるとドングリがなるらしいですね。サクラに似た虫媒花を発達させたブナ科なのか、ドングリに似た堅果を発達させたバラ科なのか……しかも葉はカエデかフウみたいですし、島で最も個体数の多い木であるにもかかわらず「こうようじゅ」の樹名板にはまだ迷っています。)

この樹名板がその後のプレイの方向性を決定付けたのでした。

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普通に生き物や化石を集めて博物館を充実させつつ……これはスミロドン(いわゆるサーベルタイガー)の骨格が完成したのをスタジオ(一度入手したものを好きなだけ並べられる撮影用の施設)でお祝いしているところです。めでたいものを集めようとして意味分からなくなってますね。この後の完成記念撮影はもうちょっとマシです。

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……博物館に展示する以外のものにも博物的価値を見出していきました。

中央にあるのは貝殻の一種として扱われている「サンドダラー」を主原料として作成できる「かいがらのテーブル」です。

貝殻と言いつつサンドダラー、つまり「スカシカシパン」は扁平なウニの一種であり、このテーブルの天板がサンドダラーの姿を忠実に再現しています。なおテーブルの土台部分はウニの殻の形です。この写真でテーブルの上に載っている二枚貝のようなものは、「置く」ことはできても「飾る」ことができず悔しい思いをした、サンドダラーそのもの(の立体アイコン)です。

つまり「かいがらのテーブル」はウニ好きには夢のような一品なのです。これさえあればサンドダラーの趣深い姿を島に展示することができます。サンドダラーの手に入りやすさと、島に設備を増やせば島の評価が上がるシステムもあり、私は「かいがらのテーブル」を量産して砂浜に並べ、砂浜をウニのことを学べる海浜公園に変えました。

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あ、これは島を卵だらけにして調査を邪魔した妖怪に呪いをかける儀式の様子です。

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島の旗を始祖鳥マークに変更するなど私の島における権限は大きくなっていきました。

しのばせ!てんじぶつの森

そしてついには地形や地表の様子までも意のままにすることができる「島クリエイター」という権限を付与されるに至ったのですが……。

この頃には他のプレイヤーの作例をYouTubeやTwitterでいくつも見ており、限られた島の中とは思えない見事な空間を作り上げる手腕に舌を巻きつつも、そうした作品の方針には辟易とする一面もありました。

島クリエイターを付与される前までは、島の木々や川や海や山に翻弄されつつもそれらの恵みを享受していたはずです。それを取り除いて、都会のような設備を並べたり、後から植えた果樹や花々を自然と呼んで愛でることは、少なくとも、現実でも公園の緑を自然とは呼びたくない私がしたいことではありませんでした。

何でもできるゲームなのですから、広く評価される作例がどうであれ、私自身がしたいことをするべきです。

では私が島クリエイターを使ってしたいこととは……、

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……むしろ、自然をもっと自然らしくすることでした。

写真はひとまず山中の河原に手を入れたところです。平地であろうが山地であろうがのっぺりとした草地でしかなかった河原に不満があったので、少しでもそれっぽくしようと「石畳の道」を砂利の河原に見立てて敷き詰めたのです。通常は素材でしかない「いし」も置いています。

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この「いし」の使い方を応用して、植物と同様に博物館にはない鉱物の展示を、このゲームにおける鉱物の源である岩と組み合わせました。

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溶岩が冷えて柱状の岩が集まったものになった「柱状節理」を再現しました。崖の肌に垂直な筋が走っていることや、崖を形成したときに柱状に見えること、「石畳の道」のパターンを利用しています。

こうして山中の河原は地質関係の展示を行う場となりました。

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山が「展示空間」になったということで、野外展示がある博物館をイメージして山への道をハイキングコースとしました。博物館前の植物園にあった樹名板をハイキングコースに置いています。

他にも山やふもとの森には細かく手を入れていくのですがそれはひとまず置いて……、道までもが展示空間となり、自然に関する展示を仕込んでいく工夫は、一見展示を行えなさそうな住民の家に及びました。

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マガモのマモルくんの家の周りに特にモモの木が目立ったので、「モモのチェア」を設置しました。

この椅子の意匠をよくご覧ください。背もたれ部分は大きな種、座面部分はクリーム色の果肉を表し、モモの断面をよく表しています。果実を材料とする家具にはこのように果実の特徴をとらえたものが多いようです。

家を囲っている柵は「やわらかいもくざい」のみで作られる「ラティス」なんですが、モモ材は本当は丈夫なようですね。変えよっかな。

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マンドリルのまんたろうくんの家は煉瓦の屋根の武骨な質感が印象的で、周囲に敷いておいた「テラコッタの道」ともども粘土で構成されたエリアになっています。

そこで、まんたろうくんの家の柵は「ねんど」のみで作成することができる「れんがの柵」として、その両側にねんどと、やはりねんどのみで作成できる「かめ」を配置しました。まんたろうくんが自慢の腕っぷしを活かし、ねんどを捏ねて陶芸をして、かめに水をためて持ち上げてトレーニングをしているのかもしれません。

なお土台になっているのはねんどと源を同じくするいしのみで作成できる「いしのスツール」です。

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ハイキングコースに至る道ではダイレクトに木々と結びつけています。ライオンのティーチャーの家には「バンブー」と「たけのスツール」、ホルスタインのまきばさんの家には「やわらかいもくざい」と「つみきのチェア」を配置しました。2名とも穏やかな性格なのでのんびり座って過ごしているところをイメージしました。

本当はこうやって素材を置くと島の評価が下がるようなのですが、どうしても最大に達しないというときだけ片付けるつもりです。

みいだせ!ひょうげんぶつの森

こうして家具とその源となる自然物を結び付けて展示していると、この島で行うべき展示のコンセプトがはっきりしてきました。

「自然と人々との関係」です。人々が自然から有形無形の恵みを得て、生活に役立てたり、生きる活力としたりしている様子を表現するのです。

元々それを味わうという側面がこのゲームにはあったはずですから、最大限活用してしまおうというわけです。

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その応用の一つがこれです。住民が揃った後はあまり用のない施設であるキャンプサイトにも展示を行いました。「火炎の制御の歴史」です。

右下の、構造は簡単なものの管理が難しく柔軟に用途に対応させられない「たきび」から反時計回りに移り変わっていきます。

目的別の形態となった「キャンプファイア」「たいまつ」、

食文化と密接に関わるようになり管理もしやすくなった「かまどのキッチン」(後に「いしがま」が加わります)、

燃料に革新が起こった「ランタン」(後に「バーベキューグリル」が加わります)、

そして火炎から脱却し飛躍的な安全と利便性をもたらす「電子レンジ」(後に「ガーデンライト」が加わります)。

一見、アウトドアの味わいを失っていく過程に見えるでしょうか。しかし、後のものほど管理の手間やリスクが省け、かえって自然そのものと向き合う余裕をもたらしてくれるかもしれません。もちろん、その管理の手間とリスクこそが、野外で味わいたいものなのかもしれません。

ここは、訪れた人が自然とどのような関係を結びたいのかを見つめなおすキャンプサイトなのです。(これがうまくゲーム内のオブジェクトで展示解説できたらなあ。広場の掲示板しかないかな。なおこのキャンプサイトはこの後地形もろとも改良を施しました。)

ぶちやぶれ!しょうがいぶつの森

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このショウリョウバッタは島にときたま訪れる生物造形作家・レックス先生からいただける作品のひとつです。捕まえられるものとして登場するショウリョウバッタより拡大されており、ショウリョウバッタの精悍さと力強さがこれでもかと表れています。

こうしたアイテムの数々が展示を助けてくれます。

しかし、こうして展示を充実させていく中で、通信プレイを利用して他のプレイヤーに本当に展示を見せることを想定したとき、私の頭を悩ませる施設がありました。

服飾品店「エイブルシスターズ」です。

これまでの写真で私がちょいちょい変な帽子やサングラスを身に着けていることからも分かるように、私もエイブルシスターズを利用してはいるのですが、ここで自然との関わりを表現するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

しかも私は、飛行場のほぼ向かいという、他のプレイヤーが来島して最初に目にする位置にエイブルシスターズを配置してしまったのです。

(Q:移転しろよ A:土地を用意するのがめんどくさい)

「せきひ」を立ててエイブルシスターズそのものが急に目に入らないようごまかしたりはしましたが、やはり服飾と自然のかかわりを表現するのがベストには違いありません。

繊維の原料を表現するアイテムはなかっただろうか。綿花?繭?ヒツジ系住人?

レックス先生にヨナグニサンの模型を発注して、カイコみたいに繭から糸を取ると言い張る?「はたおりき」をどうにかして入手して並べれば……、

いや、ヨナグニサンをからめるなら、エイブルシスターズにこそ思い通りになる要素がある。

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マイデザインで作成した服、「ヨナグニサンのドレス」です。わざわざ「はでなかみかざり」を付けて撮影しています。

エイブルシスターズにはマイデザインで作成した服や帽子を展示することができるのです。このように自然からヒントを得た服や帽子を展示していけば、エイブルシスターズこそむしろ住民の家以上にダイレクトに「自然と人間の関係」を表現した施設になるのです。島全体を博物館に見立てれば、エイブルシスターズは売店であると言い張ることもできるでしょう。

ヨナグニサンのドレスを作るに至って、私には思い起こされることがありました。

しばらく前の記事でみさき公園を取り上げましたが、そのときに大阪で知人と飲み会をしていて指摘されたことがあるのです。

「文章で説明しても分からんものを小説に出しているのだから絵ぐらい描け」

前々から言われていることではあったのですが、「絵が描ける人は絵なんか簡単に描けると思って絵で物事を解決させようとする!」としてはねつけていた意見でした。

しかしそのときは「あなたは絵が描ける側の人間だから絵で解決しろ」と言われて何も言い返せなくなったのでした。

無題70-2

そうかもしんない。(図はけものフレンズの小説同人誌の表紙に使うために自力ででっちあげたイラストです。)

かといって本当に通用する絵が描けるとすぐ思い込めるようにはならないのですが、ヨナグニサンのドレスを作ろうと思い立ったとき、確かに私は、絵で物事を解決しようとしていたのでした。しかも作ろうと思ったことすらないドレスの絵柄で。

小説で古生物の飼育を表現することに行き詰まりを感じていた私にとって、この体験こそどうぶつの森という場から得られた最大の恵みなのかもしれません。

というわけで、もしかしたらいきなり3Dプリンターを買って古生物の造形物など作り出し、今までの「Lv100」のシーンを表し始めるかもしれません。上手くいったら御慰み。

どうぶつの森のほうは5月に入って大好きな生き物であるゲンゴロウやオニヤンマ、ロウニンアジなども登場するようになり、またさらに季節が進まなければキノコやドングリに関するものが展示できないことも分かっています。ひとまずゆっくり進めていこうと思います。

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マイデザインのサンドダラーの帽子をかぶって。

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