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水族館という「図書館」の「利用者」が感じる一抹の不安

以前一人旅とからめて「自分は水族館や動物園をあたかも図書館を利用するかのようなスタンスで見学している」ということを書きました。

こっちもそれに関連する記事です。

このようなスタンスで水族館を見学している僕が不安に思っている動向が2つの水族館で起こっています。民営化で大幅リニューアルする予定になっている須磨海浜水族園と、ジンベエザメを飼育できる別館を建設するというアクアワールド大洗です。

須磨水のリニューアルについては私から申し上げるべき論点が多岐にわたるため改めてまとめるべきなのですが、取り急ぎこちらをご参照ください。

アクアワールド大洗についてはこちらを。

どちらも、私にとって「図書館的に利用しやすい」水族館だったものに「集客を重視した要素を入れてしまう」ことでそうでなくなる恐れがある点が似ています。

須磨水のほうが変わりようがあからさまであり問題が根深いのですが、大洗のほうも今のところジンベエザメの研究のためではなくリゾートと言い切っている報道なので「頼むから研究をすると言ってほしい」という気持ちです。

水族館を図書館のように利用するとき、生き物そのものだけが蔵書に当たるというより、むしろ生き物の展示全体が蔵書に当たると言ったほうがよいです。

つまり、イルカで例えるなら多くの水族館のように「ショーのときにだけ姿が見えるイルカ」と、名古屋港のように「何をして過ごしているのかずっと観察できるイルカ」では全く違う「蔵書」です。

須磨水のシャチはこのままでは「内容の薄い本」になる気配が濃厚で、大洗のジンベエザメもなんとか「内容の濃い本」になってほしいところです。

新しく入る「蔵書」が果たして本当に興味深いのか、出処が確かで適切に扱われるのか。

新館は「図書館」として利用しやすいのか、むしろ本をかたわらにお茶することぐらいしか使えないのか。また体裁がブックカフェ的であっても「蔵書」が優れているのか、お飾りのような本ばかりなのか。

今のところ大洗のほうが安心感はありますが、目が離せませんし、「利用者」として口も出していきたいです。

ちなみに、本当に図書館を利用するために遠出したことは実際にあります。仙台旅行に南三陸を組み込んで、歌津コミュニティ図書館「魚竜」を利用したときのことです。

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このときは「魚竜」の名のとおりウタツサウルスをはじめとする南三陸の魚竜の化石が展示されているのを目当てに行ったので本当に本を読みに行ったのではないのですが、実に「資料」から「学習」するために図書館を利用したのでした。

良い「図書館」を紹介していくほうもやっていかなければいけませんね。

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