マガジンのカバー画像

LIBRARIAN|維月 楓の小部屋

41
モーヴ・アブサン・ブック・クラブの司書、維月楓の小部屋。詩人・研究者・翻訳家。古今東西の女性/クィア詩人の作品を読み解くことを通して、新たな生の軌跡に敬愛を捧げている。
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

レース模様の図書室、再訪|維月 楓&霧とリボン|架空のアブサン酒《F203》

TextKIRI to RIBBON  菫色の図書室への再訪も今日が最後——もうすぐ閉じられる扉を想いながら、新緑の中を歩いてゆきます。  どこからともなく、花々の香りが漂ってきました。香りは風に乗って消えてはまた現れ、図書室への道を一緒に楽しんでいるかのよう。  厳かな気持ちで扉を開け、入室します。花々の香りはいったん古い書物の匂いの中に消えてゆきましたが、ある書架の前で、ふたたびその香気を濃く深くするのでした。 * * *   アメリカの詩人の詩集が並んだ書