はじめての宝塚
タイトル通りである。元々舞台を観るのが好きで、興味はずっとあった。だけど同時にハマったらヤバいということもわかっていたので、遠巻きに様子を伺っていた界隈である。薄給の身でこれ以上沼を増やすのはまずい。友人にも散々やめとけと言われた。
まあそんなもので好きという感情に歯止めがかけられるのなら、人間はもう少し賢くなってるはずだ。オタクは死ぬまでオタクであり、落ち着いたとしても勝手に新たな地を見つけてしまう性なのだ。
前置きが長い!YouTube巡りをしていたある休日。クラシックバレエのドキュメンタリーを見ていたら、関連動画に宝塚の動画が現れた。「へえ、宝塚も動画あげたりしてるんだ。そういやシティーハンターやってるところあったっけ」Twitterで見た情報を思い出して公式アカウントへ向かった。シティーハンター、ある。しかもちょうどいい長さじゃん、見るか〜
わ〜GET WILDだ〜ちゃんと香のハンマーも原作に忠実だ〜いいな〜〜〜〜〜……
なんか、めっちゃ表情いい人、いたぞ……
その衝撃は雷に撃たれたようなものじゃなく、じくじくと胸に熱さを残すような出会いだった。繰り返し何回も見た。うん、やっぱり表情がいい。白目と黒目のコントラスト、そして大きな口から放たれる不敵なセリフ。そう、北尾警視正演じる眞ノ宮るいさんとの出会いである。
そこからはまず宝塚のことを調べ始めた。え、チケット安くない?4000円でお釣りがくる席があるの?お試しに超ぴったりじゃん!!!!!と喜んだのも束の間、その時既に兵庫にある宝塚大劇場では公演が終了しており、観たければ東京に飛ぶしかなかった。知るタイミングが遅かったな…と諦めつつも公演日程を見た。11月。……11月?東京行く用事あるじゃん。
このご時世大きな声では言えないがどうしても見たいバンドのライブがあり、あらかじめチケットを取っていた。平日ライブなので開演は19時。その日の公演時間を見ると13時半の部がある。しかも席がある。
これは運命では?
全ての物事はタイミングである。どれだけお金と時間があっても、タイミングが合わなかったら永遠に出会うことはない。悩んだ末にチケットを取った。これを逃したらもう雪組のシティーハンターは観れないのだ。4000円でお釣りがくるなんて新規に優しすぎないか?
観た。いや、本当、知れてよかった。宝塚を知らずに死ななくてよかった。彩風さんから放たれる軽快なジョークや仕草に、冴羽獠がいる!!!!!いや足なっっっっが!と目を剥いたし、感動で初っ端から泣きそうだった。その感動が何かはうまく言えない。脳天から爪先まで鳥肌がたったのはいつぶりなんだろう。泣く舞台じゃないぞ!と自分でツッコミつつ、ステージを凝視した。2階からでこんなに見えるなら1階なんてやばくないか…ま、眞ノ宮さんいた〜!!!!かっこええ〜!!!!!衣装がグレイのスーツなのも見つけやすくてよかった。「犯人はあの…シティーハンターだ!」あ〜!!!!!気になるきっかけのセリフ〜!!!!!なぜ私は双眼鏡持ってきてないの!次来る時は絶対買う!!!!!
(いや、本当にさ…双眼鏡…………持ってこなかったせいで「Fire Fever!」で眞ノ宮さん見つけられなかったの……悔しい……)
次々と変わる衣装、機構を使いこなした演出、そして力強く華やかなパフォーマンス。宝塚は宝塚という誰も真似できないジャンルだった。演技を観ているうちに、あの人もこの人もと気になる人が増えるのすごい。もっとこのシティーハンターを見たい。でも新たなステージでまた違う魅力にも出会えるのだろう。幸せだ。
芸術は生活に必要か?とこのご時世様々な場所で問いかけられた。ステージから放たれる輝きたちを浴びたことがないから、そんな寂しいことが言えるのだ。(もっと細かく言えば生活あっての娯楽だがこれはまた違う時に掘り下げたい)
エンターテイメントは人を生かす。好きなものは多い方がいい。まだしんどい時もあるけれど、生きていきたい。
11月5日。帰りの飛行機にて。
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