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#不適切にもほどがある【TBS】

宮藤官九郎×超豪華実力派俳優×タイムスリップコメディということで、情報解禁時から非常に楽しみにしていた本作。

解禁時のビジュアルかわいい!

「これは全人類が見るべきなのでは???」クドカンファンとしてはたまらなく最高で今期ぶっちぎり1位でした!

【※本記事ネタバレ含みます!!】

あらすじ

1986年――。「地獄のオガワ」と恐れられる体育教師の小川市郎(阿部サダヲ)。家では男手一つで17歳の一人娘・純子(河合優実)を育て、娘の非行に手を焼いている。
ある日バスで帰宅中、ついウトウト…。目を覚ましバスを降りた市郎が辿り着いたのは、まさかの38年後の“令和の日本”だった!!

公式サイト(一部要約)

少し驚いたのが毎話お約束としてミュージカルシーンが登場すること。

話し合いましょ〜♪

昭和と令和のギャップを通して“ここが君たちに伝えたいことだよ”と言わんばかりにメッセージが歌に込められます。

▪︎昭和人を面白おかしく描く

何このツルッツルしたの!?

まず、本作を語るうえで生まれ歳は大事。

私はゆとり全盛期の恩恵(?)を受けた1995年生まれ、本作の登場人物で言うとまさに秋津くん(磯村勇斗)世代です。

地獄のオガワ

一方、小川(阿部サダヲ)はいわゆる典型的な昭和オヤジ。

暴言、セクハラ、体罰も当たり前な彼は、描き方によってはかなり嫌な気持ちになる人も多いはず。

だけどなぜか彼を見て笑える。

恐らく本作(というよりクドカン)は大前提として、昭和の人を皮肉を込めて面白おかしく捉えていた気がします。

もはや令和にとって、彼らの生き方や価値観は未知の領域であり、宇宙人そのものなんですかね。

あんないかにも人を嫌な気持ちにさせる発言ばかりが冗談でも飛び交っていたなんて、信じられないけれど……

一方、小川と同じ昭和を生きた人はどうなのでしょう?

この作品について年上の方と語る機会がなかったのですが、「あんな頃もあったな〜」なんて懐かしみながら観てたのかな?

純子とムッチ先輩、愛すべきコンビ

過去を今の視点から描くドラマってありそうであまりない。

タイムスリップものは絶対に救わなければいけない命があったりするし、時代劇は史実をいかにスペクタクルに描くかに重点がおかれがち。

もちろんそれはそれで面白いですが、本作はなんとなく公にすることをタブーとしていた“ジェネレーションギャップ”を一切の躊躇いもなくありありと表現していたのが、新鮮で痛快でした。

▪︎固有名詞のオンパレード!爆笑台詞集

クドカンといえば、やはり抜群の笑いのセンスに溢れた台詞の数々。

特に今回は、キョンキョン、八島智人、金妻、LINEなど、時代を象徴する固有名詞を活用した爆笑台詞のオンパレードでした!

好きだった台詞、沢山ありますがこの辺り↓

「迷ったときは、八嶋より上か下かで決めている」

ここまで活躍すると思わなかった八島さん

→テレビ局に勤める渚(仲里依紗)が演者を乗せる航空チケットの取り方を新人APに教える際のひとこと。
ビジネスにするかエコノミーにするかの瀬戸際で出されたのが彼の名前(笑)

本作で八島智仁さんが大活躍なのですが、事の始まりは多分このひとことから。
ギリギリいじっても怒らなさそうな絶妙な人選、さらに本人まで登場させてリアルとリンクさせるコメディセンスたるや!!!
さすがすぎてこのくだりは唸りっぱなしでした……

「あなた、見た目は坂東英二寄りなのに、中身が奥田瑛二なのよ!!!」

→サカエ(吉田羊)がタイムスリップ先の昭和で、離婚した元夫の井上(当時は中学生)に向かって言うひとこと。
「金妻」ブームに便乗したサカエが、坂東英二⇄奥田瑛二と対照的なふたりを並べて思わず発してしまう秀逸すぎるネタ台詞。

この親子、ホントに好き!

サカエさんは、フェミニストで社会学者という最も昭和と相反する生き方をしているがゆえ、ハレーション起こりまくりで視聴者の誰よりも素早く昭和にツッコミというメスを入れてくれるのですが、徐々に昭和に麻痺していく姿がちょっと可愛い(笑)

ストレートに女性にアプローチをする息子の担任の安森先生にときめく姿もいいギャップになってましたね〜!


「告って振られてドライフラワーまでがセットなんで」

秋津くんちの居候

→恋愛にドライでどこか達観していかにも令和の若者な秋津くんが、たった1週間の燃え上がる恋に破れた際のひとこと。

失恋ソングを歌う他術がない秋津くんの変貌っぷりが最高でしたが、ちょっとした価値観のズレを理由に「理想は交際0日婚なんで。」と秋津くんを振る女子もなんだか選択肢に溢れた現代っぽい恋愛方針だなぁ…と納得。

とにかく秋津くん、恋を学べて良かったね!!!

▪︎結局託されたメッセージとは何か

このシーン、泣いたなぁ…

毎話いろんなメッセージを発信し、ときにはスカッと、ときにはウルッと視聴者を様々な感情で包み込んできた本作ですが、ラストは少し不意をつく展開でしたね。

“どの時代にも行けるようになる”=“その時代やその時代の価値観を線ではなく点で捉える”ことなのではないかと私なりに解釈しました。
(たしか、坂元裕二の「大豆田とわ子〜」でこの描写がありました)

結局起こった出来事は変わらないし、失われたものを取り戻せるわけではない。

それでも確かにその時代に存在した人たちはいて、その人生をその人たちなりに楽しく精一杯生きている。

時代錯誤だと冷たい言葉で切り離すのではなく、誰かが誰かの生きた時代=証を“寛容”に受け止めること

それが私たちが時代を築いていくうえで大切なことなのだと、そう教えられた気がします。


あ〜!これは絶対にまた時間をおいて見返したくなる傑作!!

もしかしたら自分たちの子供世代と一緒にみてもまた違った楽しみ方ができるのかな、と思いました。


さて、いよいよ来期ドラマも本格的にスタートしますね!
今期もたくさんの良作に巡り会えますように…!

▼公式サイト

#不適切にもほどがある #ふてほど
#阿部サダヲ #宮藤官九郎 #クドカン

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