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獅子吼(ししく)

九條です。

仏教に「獅子吼ししく」というお話があります。

獅子しし」というのは伝説上の動物なのですが、一般には「百獣の王・ライオン」に喩えられます。

「獅子吼」とは、ライオンがえる様子を喩えた仏教説話です。

小さな弱い動物(たとえば小型犬など)ほどギャンギャンとよく吠えますね。

草原の中で、小さな弱い動物たちがキャンキャン、ギャンギャンと吠えています。そんな小動物たちの前でライオンが本気を出してひとたび吼えると…。

どうなるでしょうか?

それまでキャンキャン、ギャンギャンと吠えていた弱い者どもはビックリして飛び上がって一目散に走って逃げます。

「獅子吼」とは、そんな様子を喩えたお話です。

一般にも「能ある鷹は爪を隠す」「大智は愚の如し」「大巧は拙なるが如し」などといいますね。

仏教の「獅子吼」の説話は、人の心の在り方を教えていると思います。

もともと(本来)の「獅子吼」の意味は、

お釈迦さまの教えは、四方八方十方世界の宇宙の果てのさらに向こう側にまで響きわたり、邪悪な者ども、よこしまな心を一掃して全ての衆生を救い切る。

という意味です。^_^


【参考資料】
◎『望月仏教大辞典』1974年
◎『大正新脩大蔵経』9 普及版  1990年
など

©2022 九條正博(Masahiro Kujoh)
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