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【読書記録】2024年6月

さて。6月分も毎度のように「今月は○○冊」と言いたいところなのだが、実は今月、読書メモを取るのを怠ってしまった。「おそらく15冊はいったと思うのだが……」レベルの体たらく。
なので今月は冊数は無し。「自らのポンコツ記憶」と「図書館の貸し出し記録」をもとに、6月分の読書記録を付けていこうと思う。


『キスに煙』 織守きょうや

男子フィギュアスケート界を舞台にしたBLミステリーロマンスである。良き友でありライバルでもあった塩澤と志藤の二人は、とあるフィギュアスケーターの死をきっかけに、互いのことを今までとは違った目線で見るようになる。恋心、疑心、すれ違い……。息も吐かせぬ展開に、僕は最後まで気を抜くことができず、読み終わるころには手にじんわりと汗を握っていた。

「離れて時間が経てば、『昔すげえ好きだった相手』になるはずだと思ったんだ。幸せを見守れるくらいの距離感がよかった。ほしくてたまらない、って状態じゃ、近くにい続けるのが辛いかなって」

『キスに煙』 織守きょうや

同じBLジャンルで言うと、窪美澄の『ぼくは青くて透明で』も、とても良かった。こちらは高校を舞台にした青春恋愛小説。主人公たちが若いこともあり、関係性がとても初々しく甘酸っぱい。

「……カミングアウトしなくちゃダメなのかな。ほかのみんなはそんなこと宣言しないで生きているじゃないか。ぼくがぼくのままであることを、まわりに大声で伝えないとぼくは生きてちゃだめなのかな」

『ぼくは青くて透明で』 窪美澄

普段、商業BLはあまり読まないのだが、気になったものがあれば読んでみるのもいいかもしれない。

『ある行旅死亡人の物語』 武田惇志

「行旅死亡人」とは、行旅中に死亡し引き取り手が存在しない身元不明の死者のことである。日本には行旅死亡人データベースがあり、その中には、「行旅死亡人の所持金ランキング」なるものがある。第一位は3400万円を残した女性。『ある行旅死亡人の物語』は、この女性の身元を突き止めるべく奔走する新聞記者たちのノンフィクションである。
手がかりは、現金3400万円の他に、「星形マークのペンダント」「数十枚の写真」「『沖宗』の印鑑」と少ない。これらの細い糸を手繰り寄せることで、正体のない女性の姿が、徐々に浮かび上がってくる。天涯孤独に見えた女性にも、生前はもちろん生活があった。調査が深まっていけばいくほど、単なるデータでしかなかった女性に血が通っていく。一人の孤独な女性の人生を通して、読者は「人生とは何か」を考えさせられることになる。
関連書籍として、エリザベス・グリーンウッドの『偽装死で別の人生を生きる』も読んだ。こちらは、奨学金から逃げるために偽装死を計画するルポルタージュなのだが、「死に逃げることはできない」ということを、まざまざと見せつけられた。

『復讐は合法的に』 三日市零

あなたには、理不尽な目に遭ったが何もすることができず指を咥えて見ていることしかできなかった経験はないだろうか。『復讐は合法的に』では、主人公の弁護士エリスが、そんな人々の晴らせない恨みを犯罪スレスレの合法的手法を使って晴らしていく。人々を助けながらも決して正義の味方を気取らないエリスがとにかくかっこいいし、そんなエリスの活動を助ける仲間たちのキャラクターもこれまたいい。

ショーマストゴーオン。まだまだ舞台は、終わらないわよ。

『復讐は合法的に』 三日市零

「DV」や「性的虐待」「暴露系Youtuber」など、取り扱う題材は重いので注意。しかし物語の構成が巧みなので、読了後にスカッとすること間違いない。


気がついたら、2024年も折り返し地点に来ている。今年はあと何冊読めるのか楽しみだ。
私ごとなのだが、実はこの12月末に30歳を迎える。30歳になる前に「超大作」にも挑戦してみたいのだが、何かおすすめがあれば教えてほしい。もし30歳までに読んでおいた方がいい本等があれば、こちらも募集している。(色んなジャンルに挑戦して見聞を広げたいと思っているので、お気軽にお寄せください……!)
今月は以上。また来月お会いしましょう。

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