タピオカという名の侵略者

先日、大学の近くにタピオカ屋なるものができた。まだ行ったことはないので、正確には「できたらしい」。今や空前のタピオカブーム。女子高生はタピオカを神と崇め、ビーダマンのビー玉はタピオカに変わり、年配の方々はタピオカと白玉で囲碁をしている世の中である。

そんな一世を風靡しているタピオカが遂に我が大学にも来襲したのだ。僕は直感的にこれはマズいと感じた。なぜなら時はタピオカ戦国時代。大学がタピオカに侵略されてしまう可能性がないとは言い切れない。もしかしたら大学名がタピオカ大学になってしまうかもしれない。もしかしたら単位をタピオカで数えることになるかもしれない。はたまた大学生協のメニューが全てタピオカになってしまうかもしれない。もしくは「おはようタピ」「次の授業何だっタピ?」などと語尾に「タピ」をつけて話さないと停学または退学処分になってしまうかもしれない。

そう考えると、タピオカとはなんて恐ろしいものなんだと僕は1人恐怖におののき始めた。キャッサバの根茎から取ったデンプンを水で溶いて加熱して乾かし、熱湯で茹でた黒い玉で統制されるキャンパスライフなんて絶対嫌だ!

しかし実際はそんなことにはならなかった。学生たちはぞろぞろとタピオカ屋の前に列をなし、友人や恋人と楽しそうに写真を撮り合っている。僕は未だそのタピオカ屋には行っていない。タピオカを買ったことでドラゴンクエストみたいな大冒険が始まるのはごめんだ。永遠に行くことは無いだろう。

そんなことをだらだらと考えながら、僕は学園祭でタピオカを売っているのだった。

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