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一つのBL小説で狂った言語オタクの現在位置

~これまでのあらすじ、というかこの記事の要約~
 つい先日、『パブリックスクール』(樋口美沙緒著)という、イギリスの上流階級の学校が舞台のBL小説を読み、美しすぎて萌えすぎてあまりにも狂ってしまった
言語オタクな節もある私は読んでる間に「ウワッ……!!このセリフは原文(英語)で読みたい……!!……アッ…、この本の原文日本語やった……」ということを100億回繰り返し、英語を読みたい欲が過去最高になり、英語のBL小説を買い、読み終えて今に至る、というのが事の発端とこの記事の要約となる。

-登場人物の紹介-

・私
言語オタクの自覚有。
大学では一応英語科だったけれど、TOEICは400点台と、英語科にしては普通以下。
読書遍歴については、BL小説を読むまでは推理小説が9割以上。
BLは有名な漫画を少し。
腐女子分類で言うと、山も谷もなく全てハッピーが良い、光の腐女子

・友達
無類の小説好き。漫画より小説派。
谷の話の後の神々しい山が好きな、夜明けの腐女子
貸してくれる小説がすべて神。


<事の始まりの本>


 去年辺りから友達にBL小説をいくつか借りては読み、その全部が面白すぎて自分でも買ってしまうという沼りようだった。

 で、先月ぐらいから樋口美沙緒さんの『パブリックスクール』という本を借りて読んでいた。

これが1巻。
 正直、この1巻は谷しかないので、この時点ではあんまりハマらなかった。しんどいなぁっと思いながらも読んでいた。
この1巻では話が終わらなかったので、2巻へ続く。

 これがその問題の2巻。
神々しかった。あまりにも山脈が輝いていた。
1巻がほぼほぼ谷の話なんですけど、それを全て覆すのがこちら。
文章全部にアンダーラインを引きたいぐらい面白かった。

 まず、なんでしょう、緩急のつけ方かな?がとても好き。
攻めくんが焦ってるのに、受けくんが自分のことと思わず危機感無くのほほんとしてる温度差がめちゃくちゃ面白くて声出して笑って読んでしまった。
とは対照的に、美しいシーンは本当に美しくて、別れのシーンなども本当に綺麗だった。
 BLで美しい文章に出会うと、西尾維新で育ってきた私は、綺麗な文章ってこういうことか……と思ってしまう。(もちろん中二チックな文章も、それはそれで大好き)

 両片思いの話もあんまり好きではないのだが(「早よくっつかんかい!」とイライラするので)、面白くて引き込まれてしまった……

 あと普通に好きな要素が多くて、性癖に刺さりまくりだった。
 舞台がパブリックスクールなので、登場人物みんな賢い設定なんですよね。「小さい受けくん」とかもそうなんですけど、さらに賢いキャラが大好きなので、言わずもがなこの小さくて可愛い受けくんが数か国語は話せるのとても好みのキャラでした。脳汁案件です。

 イギリスが舞台なんですけど、日本人が書いた日本の小説なんですよね。でも翻訳された日本語みたいなセリフが多いので、翻訳を読んでいるかのような臨場感もある。そこが良い。

 この2巻読んでいる途中らへんから、ツイートもしてたんですけど、ほんとに脳汁もといアドレナリンが出すぎて、本当に狂っていた。
 日中パブリックスクールのことばっかり考えてしまって、ちょっと日常生活に支障が出始めたのでとりあえずクールダウンしようと思って2,3日読まない日を設けたりもした。
 っていうか普通に日常生活送ってるオタク全員すごくない?!すごいよ……どうやって生きてるの……


 
 今読んでいるのは3巻の途中。
 3巻で、「パブリックスクール出身者の英語は少し違う」みたいなことが書いてあるんですけど、少し調べたらめっちゃくちゃ興味深かった。
 「標準イギリス英語(RP)」というらしいですね。日本語で言うと、アナウンサーが使う「正しい日本語」のような感覚? それにしても、パブリックスクールというところは、話す言葉も矯正(かどうかは知らんけど)されるほど閉鎖的空間ということなんかな……
参考:
https://ee.asahipress.com/common/issues/2018/09/documents/special.pdf
https://everydayuk.xyz/upperclass-2

<洋書BLへ発展 -日本のものと比較->

 とにもかくにも場面と文章が美しすぎて、言語オタクでもある私は「ここのセリフは!!原文ではなんて言ってるんですか!!」となり(原文はそれだよ)、大学で英語を学んでいた時以上に英語を読みたい欲が強くなり、英語のBL小説を買いました。(ハリポタオタの人が原作読む気持ちはこんな感じなのか…と思った)

 イギリス上流階級の英語が…!知りたい…ッ!と思ったのだが、生憎私が今まで学んできたのはアメリカ英語。イギリス英語の文章を長く読める自信が無かったので、とりあえず、アメリカ英語の、50ページ程のBL小説を読むことに。

 そんな経緯で、とりあえず読んだのがこちら。

 刑務所で同室になった男から犯されてしまい、自分はノンケだと言いながらも、出所した後も彼のことが忘れられなくなる男の話。
 
 一応言語は好きやけれども、ここ数年は他言語にも触れず普段日本語オンリーの世界で生きていたので、洋書とか読めるかな……と自信はなかった。
そこで「短いし、読みやすいので初心者にオススメ」と書かれていたので、この本から読んでみることに。

 Kindleってね、すごいんですよ。単語長押ししたら辞書が出てくるんですよね、ありがたい。という訳で現代科学に感謝しながら読み進めていくと、確かにめちゃくちゃ読みやすかった。とか言うて完全に全て理解した訳ではないけれど、1日10分~1.5時間ぐらいで読んでいき、1週間ぐらいで読み終えた。普通に面白かった。

 --洋書との比較

 ここで、洋書BL(と書いてますが、向こうでは「BL」ではなく「m/m」と表記するらしいですね)はこれだけしか読んでないので材料はめちゃくちゃ少ないのですが、気になった日本のBL小説との比較を少し。

 ・表紙 

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 まず表紙なんですけど、どの表紙も実写なんですよね。日本のBL小説は全部二次元のイラストなのにね……需要の違いなのかな? 個人的に3次元では興奮しないので、イラストのが好きやなぁっと思った。

・濡れ場での表現方法①
 日本の小説なら濡れ場で「あッ……ン……」とか言うじゃないですか。
でも洋書は全然そんなことなくて、「うめき声を出した」とか地の文での説明で終わっていた。この作者の方だけかも知れないけれど……

・濡れ場での表現方法②
 日本のBL小説って、例えば濡れ場とかで美しい比喩を使って表現したりするじゃないですか。でもそれは日本語ネイティブにしか分からん表現やろなぁっと私は常日頃から思っているのですが、洋書ではそういう表現が全くなく、普通に「ass hole」とかいう単語だった(読みやすかったので良かったが)。まぁ、またこの作者の方だけかもしれないし、私が理解していなかっただけかもしれないが……

・文化の違い
 「玄関に入った」って時点で普通に靴を脱いでた想像やったんですけど、その後の地の文で「靴を脱いだ」って文が出てきたので、「あっ…そうか…向こうは土足文化やった」とカルチャーショックがあった。

 --用語集

あとみんなが好きそうな下ネタ用語。

・come…イく。
 これびっくりしたんですけど?! 日本語から直接訳そうとすると「イく」やから「go」かな~とか思うじゃないですか?! でも「come」やったんですけど?! こんな真反対なことありますか?! これやから言語はやめられねぇぜ……と別角度で興奮してしまった。

・prostate…前立腺。
 友達に「前立腺という単語を覚えてしまい…」と言ったら「どこで使うねん!!」とツッコまれた。言語の大学でもさすがにお目にかかれなかった単語。

・fuck…犯す
 Fuckってマジで犯すって意味で使うんや~と思った。

・hickey…キスマーク

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 イギリス英語ではlovebiteって言うんですね。可愛い。

・You like this?…「ココが、好きなんだろ?」

・You missed this?…「コレが、欲しかったんだろ?」

またつまらぬ単語を覚えてしまった……


……と、いうわけで、お試しで読んでみた短い洋書を読み終えれたので、本命のイギリス英語の上流階級の話の本を読もうと思います。

 260ページあるらしいので、10分の朝読の時間に読んだとしてもたぶん半年以上かかりそうな予感……年内に読み終えれたら上々ですね。
 ちなみにこれは濡れ場はないらしいです。期待してたみんな、ごめんな。
読み終えたらたぶんまた感想書きに来ます。


<言語と私 -自己分析->

 話は逸れるんですけれど、最近別の友達が英会話教室に通い始めたらしくて、変な意味も全くなく素で「えっ?!他人とのコミュニケーションと取りたいと思ってることがすげぇ!」と思ったんですよね。

 私は言語が好きやけど、だからってそれで人とコミュニケーションをとって人間関係を広げたい!!というわけでは全くなく、基本人見知りなうえに人間不信なので、人間関係は広げたくはないんですよね。(広げたところで、こまめに連絡をとるのが死ぬほど苦手なので日本人とも続かない)。

 洋画をよく日本語音声、英語字幕で見たりするんですけど、それは「頑張って」とか「大丈夫」とか、日本語独特の表現になってるセリフはほんまはなんて言ってるのか気になるから。(ついでにこないだ見た洋画の「死ぬな、しっかりしろ!」ってセリフの英語字幕が「Stay with me」やったので、マジでstay with meって使うんや~と思うなどしました。)

 と、まぁ、日本語ではこういう表現をするけれど、他の言語やとこういう表現になるよ。ってところに言語の面白味を感じているんだなぁっと、この英会話教室の話になったときに自己分析してみて、改めて思った所存です。


<謝辞>

 まず、将来特にやりたいことがあったわけでもなかったのに、行きたい大学まで出してくれた親に感謝。英語が読みてぇ!ってなってすぐ読めるのは、やっぱり少しでも勉強してたからやし、そういう環境にしてくれたことに感謝です。

 あと、いつも素敵な本を教えてくれる友達。いつもありがとう。そして感想まで聞いてくれてありがとう。あなた無しでは生きていけません。

 最後に、素敵な作品を生み出してくださった樋口先生に感謝を。とんでもないです。一人のオタクを狂わせました。またずっと狂わせてください。


<パブリックスクールシリーズの他の巻>

 この狂わされた本の前に、同じパブリックスクールシリーズで違うキャラが主役の本も読んでたんですよね。友達が気を利かしてくれて「谷が浅いので、先にこっちのが良いかも…」と、先に貸してくれた本。

 前作と同じく「愛とは…」みたいな話なんですけど、最後の攻めくんがとても可愛いです。ニヤニヤしながら読んでいました。両片思いです。
 個人的にこの作者の方、受けくんが小さくて可愛らしいので、それがとても好きですね……
 現在2巻まで出ています。


BL漫画派の方、小説もいいぞ…!!

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