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普通のふりして生きてきた~ちょっと病気がちな奴が健康なふりをしている回想録⑧~

~前回のあらすじ~

抗がん剤治療が始まり、連日泥の様に眠るようになる。もはやかちかち山のたぬきを乗せた泥船。ぽんぽこ。


眠り姫、起きる

さて、一週間全く眠気に抗えなかった私氏、ついに点滴期間を終えました。

点滴での投与がかって終われば、後は予後を先生に任せてゆっくり過ごすだけ。その後は二週間程度の自宅療養と一か月の入院(内一週間抗がん剤投与)を繰り返す。

初回の抗がん剤治療でほとんどベッドに縛り付けられていた私でしたが、投与一週間目、昼の抗がん剤が終わると同時に眠気ともおさらばしました!なんだか急にお腹が減ってきたぞ!今日の晩御飯は何かしら!!いつも通り、お昼ご飯には口付けないまま下げちゃったばっかりだから、ご飯が待ちきれないわ!

ぐーぐーと鳴るお腹をお茶でごまかしながら、TVで大好きな水戸黄門の再放送を見たり、一週間吐き気と眠気でいじる気さえ起らなかったスマホでTwitterやゲームをしたりして暇をつぶす。

因みにこの時期に書いた記事がこちら。今日はこちらの有料部分の出来事を無料で記事にしちゃいます。あのろくでもない話を買ってくれた方、ありがとう。あなたのおかげで私は元気に生きてます。

そして待ちに待った晩御飯の時間になって、看護師さんが夕食を持ってきてくれました。

看護師さん「あら、起きてて大丈夫なの?」

私「うん。抗がん剤終わったら、すっかり気分良くなっちゃった」

看護師さん「あらら、良かったねぇー。じゃあ、今日のご飯全部食べられるかなー?」

……なんかやけに子ども扱いされるな。たまに半分目を覚ましてむにゃむにゃ言ってたからかしら。

配膳されたメインの器の蓋をカパッと開けると、魚の開きっぽい揚げ物。アジフライだ!

う~ん、ちょっと微妙だなぁ……。同じ魚ならホッケとか食べたかったなぁ、とか贅沢な事を宣いつつ、でも久しぶりの晩御飯だし、ちゃんと食べよう……。

いただきまーす……。

ぱくっ。

あら?

ぱく。もぐ。

あらら?

もぐもぐ。がつがつ。

あらららら!?

ナニコレ、すごい美味しいんですけど!アジフライがこんなに美味しいと思ったの、生まれて初めて!!乾いた味覚に、アジの旨味と衣の油分が染みる~~~~!!!!

アジをほとんどたいらげてから、いきなりがつがつ食べすぎじゃない!? と我に返る。胃がびっくりしちゃうからね!でも止まらな~い!!

ご飯は少し残しちゃったけど、アジは残さずきれいさっぱり食べ終えて、大満足の夕食でした!

ご飯の後には薬の時間。抗がん剤投与期間中は自力で薬と水を用意して飲むのもままならなかったので、看護師さんに用意してもらってました。

看護師さん「お薬の時間ですよ~」

優しくて可愛い看護師さんが持ってきてくれた、胃薬、整腸剤、抗生剤(大き目)を手の中に全部出して一気に口の中に放り込んで水で飲み下す。

たった四錠。そう思っていたのが大間違いだった。

―――――グホッ!!

大き目の抗生剤が、喉にひっかかってむせた。

その場で出しはしなかった。ちゃんと口を閉じたままむせた。辛い。

異変を察知してくれた看護師さん、すぐ背中をとんとんしてくれる。ジェスチャーで『吐く』と伝えるとすぐ洗面器を持ってきてくれました。

私至上最高に上品に吐いた。そろり。看護師さんの目の前ですもの。

夜ご飯のアジ全部吐いちゃったよ……。看護師さんに謝りながら、吐しゃ物の処理を任せます。申し訳ない……。

皆さん、ご飯をがつがつ食べる事と、自分を過信して四つ以上の錠剤をいっぺんに飲み下すのはやめましょう。




次回、「血が足りない」にご期待ください。

神からの投げ銭受け付けてます。主に私の治療費や本を買うお金、あと納豆を買うお金に変わります。