普通のふりして生きてきた~ちょっと病気がちな奴が健康なふりをしている回想録⑥~
~前回のあらすじ~
歯医者は地獄
新たな地獄がやってきた
地獄の歯医者が去った後日、胃カメラと、点滴や採血のためのピックを入れる処置に挑みました。
前日夜のお菓子を食べられずに空腹絶頂の32歳児、人生初胃カメラ。
胃にカメラ入れるなんてやったことないけど、噂によると今の胃カメラって改良進んで小さくなって、あんまり苦しくないんでしょう? 余裕余裕、とか思いながらカメラ室で待ってたんですけど、いざ呼ばれて行ったらすっげぇ太いの出てきたわ。
ええ……こんな太くて大きいの、お口に入らなぁい(全年齢対象)
思わずそう思っちゃう程太かった。普通にうちの洗濯機の汲み取りホースより太いが??
何か苦い薬をお口にシュッシュして……。
先生「ではこちら側を向いて横になって下さいねー」
看護師さんに「検査の間は唾が飲み込めないので、よだれは垂れ流して下さいねー」と言われ、顔の下にシートみたいなのを敷かれてスタンバイOK
先生「はーい、では始めまーす」
ズボォッ。
おぐっ……! ぐぇっ、おぇえええ、オェエェエァエ!!
看護師さん「あらぁ、嘔吐いて凄いね。楽にしてー」
お……お! でかいのが、喉に! 食道に!!
オエェエ、ボェエエェエ! オエーーーー!!
そして私は何も考えられなくなった。
そう、私は『唾を垂れ流しても良い』という、超重要キーワードを失念していたのだ。
オエッ、オエエエ!
カメラを必死に押し返そうと、自然に舌が動いちゃうからこんなに嘔吐いて苦しいんだ、という事に気づいたのが検査後半。
オエッ、ェエエエオエエエエ!
落ち着け私。舌の力を抜くんだ。でも力を抜くってどうやって!!どうすれば楽になれる!!オエエエオエエエ!
嘔吐く私。垂れ流しの、涙と鼻水。外に出したいのは唾なんだ。オエエ!
何かっ! 何か別の事に集中するんだ!! 舌の動きをっ……止めっ、ウォエ!
その時とっさに私の脳裏に閃いたのは、ショートケーキだった。
全集中! ショートケーキの型、いちごの呼吸!!
私は集中した。首より上にあるすべての神経を集中させて、頭の中にひたすら、いちごのショートケーキを描いた。
おかげで徐々に舌の動きもおさまり、検査を終える事ができた。カメラを私の口から抜いて、先生は言った。
先生「はい、お疲れ様でしたー」
私氏、放心(3回目)
先生「はい、じゃあ、こちらにどうぞー」
そう先生の横の椅子に誘導されて、自分の内臓の中のビデオを見せてもらい、所々説明をしてもらうが、
それどころじゃなさすぎて全然頭に入って来ませんが??
何か炎症っぽいのがあるって言われたような気もするが、無理です先生もう横にならせてください。
すっかり目が点の私。見かねた看護師さんが、病棟からお迎えを呼んでくれて、車いすで帰りました。お世話になります……。
ピックを入れるための処置まで少し時間があるので、部屋に横になって小休止……。
ふとトイレに立って、洗面台で手を洗う時に鏡を見たらびっくり。
顔面の毛細血管切れまくってら。
舌が大暴れした時に、ぎゅーっと力を入れて目をつぶっちゃってたのが原因かと。あーあ、ぶっさいくなキャンディキャンディみたいになっちゃってまー。その内消えるのかしら。
その後また処置で呼ばれて、腕のいい感じの血管にピックを入れてもらいました。これで点滴や採血の時は二股ピックのどっちかにカチッと繋げばオッケー。いちいち針を刺さなくていいいから、血管出ない族は大喜び。看護師さんも楽。ありがたやー。
そして準備が整ったらいよいよ抗がん剤の開始も間近……!
次回「寝る子は育つ」にご期待ください!
神からの投げ銭受け付けてます。主に私の治療費や本を買うお金、あと納豆を買うお金に変わります。