サウナで限界突破





平日の夜、彼とサウナに行った




ロッカーに荷物を入れて服を脱ぎ始めたんだけど
その日履いてたのは、
自分史上いちばん楽ちんなユニクロ様のパンツ。

お尻すっぽりの股上深いやつ。




これ、友達と来てたら地味に嫌だなぁと思いつつ
マンネリしてくるとこうなるのかと静かに反省した。

もうすでに頭の中がうるさい。





さらにさらに
大浴場に先客が1人いたんだけど
ロッカーを見るとちょうど隣。



・・・こんなに空いているのに。




出たときにちょうどその人が着替えてて
あ、すいません、、とか言いながら
そーっと隣のロッカーを開けて
気まずい思いをするところまで
想像してしまって軽くバッド。

別にええやんって思うんだけど
なんせ私はチキンなのだ。






給水器で水を飲んでいざ出陣。





入る前
12分を2セットくらいかなー、と
「12分3セット」と、ここでビシッと決めずに
逃げ道を残すチキン。





サウナには誰もいなかったから
1番奥に座ったんだけど
「ここ上座やん」
と座りながら気づく。



毎日来てる主みたいなオバチャンも
おるだろうし、
暗黙とナニカがありがちな地元の銭湯は
普段より気を使ってしまう。



まぁ普通に上座座ったんですけど。





1セット目。
12分経って、まだいける!と13分で退出。




そのままトイレへ



これ、いつも思うんだけど
脱衣所のトイレって服着た人も入るし
全裸の人も入るじゃないですか。

自分が全裸で入るとき、
外で人が待ってたら気まずいわって思いながら
いつも急いで用を足してる。


ならタオルくらい巻けよって思うんだけど
それはめんどくさいのだ。



どうしてそんなに気にするかというと

逆に自分がトイレ待ってて
出てきた人が全裸だったら
「あ。全裸ね」ってなるし

なんなら出てくる人が着衣か全裸か
当て始めたりするからだ。
(超失礼。やめます)




水分補給をしてすぐ2セット目。

さっき13分入っちゃったもんだから
次も13分入るしかなくなった自分。


もちろんそんなルールはどこにもないが、
何セット入った?って聞かれたとき
「13分3セット!」って答えた方が
気持ちいいじゃないですか。



時計をチラ見するがまだ3分。
「おっふ、、、」

高1でのファミマのバイトを思い出した。



レジやって、ファミチキ揚げて、レジやって

よし、さすがにもう30分は経ったじゃろ
と、時計を見るとまだ3分。

永遠のように感じたあの時間。



壁を挟んだ男湯で
彼も戦っているんだと思ったら正気に戻り、
2セット目終了。

ドMか。





ラスト3セット目。

開始数分で限界間近。

12分計をどうしてもふつうの時計の感覚で
見てしまい先の長さに絶望する。


体から強烈ななにかが抜ける感覚。
うな垂れる私。まるで悪魔祓いだ。


やっと半分経過。
まだ半分と思うか、もう半分と思うか。

アスリートみたいな言葉が頭をよぎる。



私のお豆腐メンタルを試すがごとく
「もう出ちゃえば?」と悪魔の囁きが聞こえはじめる。



あと3分。

暑いのに体が震え始めた。
とうに限界は超えている。
ジョーの体勢に入ってとにかく耐える。


ラストスパートで
中島みゆきの糸を脳内再生しながら
13分3セットを完走。

命からがら脱出。






時計を見るとちょうど1時間。
こんなに濃い1時間があるだろうか。


しばらく露天風呂のベンチでくたばりながら
達成感をかみしめた。



さっきサウナで出した悪魔までもが、
その栄光を讃えた。


「1時間前とは違う、
お前は13分3セットの女だ!」







出てから聞いた
彼は1セット目に20分入ったらしい。


ニジュップン。
すごすぎて意味分かんない。




13分より先の世界を私もいつか見てみたいと思った
とっても濃ゆい平日の夜だった。





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