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果無んだミニマリストに夜の梅

果無はかなんだミニマリストによるうめ

 しかしピンボール・マシーンはあなたを何処にも連れて行きはしない。リプレイ(再試合)のランプを灯すだけだ。リプレイ、リプレイ、リプレイ……、まるでピンボール・ゲームそのものがある永劫性を目指しているようにさえ思える。
 永劫性について我々は多くを知らぬ。しかしその影を推し測ることはできる。
 ピンボールの目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大にではなく、縮小にある。分析にではなく、包括にある。
 もしあなたが自己表現やエゴの拡大や分析を目指せば、あなたは反則(テイルト)ランプによって容赦なき報復を受けるだろう。

 良きゲームを祈る(ハヴ・ア・ナイス・ゲーム)」

村上春樹『1973年のピンボール』
国吉康雄《カーテンを引く子ども》1922年
岡山県立美術館

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