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ガーリーショー淫らにみどりの週間に

ガーリーショーみだらにみどりの週間しゅうかん

「あの娘は胸を丸出しにしてたんだよ」
「乳首も隠さないのか?」
「まるで信号がふたつ、ついてるみたいだったね」
 ポーリーンはポーチにいるふたりの会話を聞いていた。バドが夫に、数年前に行ったニューヨーク旅行の話をしている。カジノ・ド・パリに行ったときの話だ。
 夫はほとんど口を挟まず次から次へと煙草を吸い、バドの手からブラッツビールが切れないよう気を配っている。ビールは夫の横に置かれた金属製のクーラーボックスで冷えている。
「イチゴみたいな乳首だった」 バドが話している。「でもTバックは絶対に脱がなかった。脚を広げもしなかったな」
「そうか?」
「ああ。でも、あんたは見たことあるよな」
「なにを言いたいのかわからないね」夫はそう言い、マッチを芝生の上へとはじく。
「へえ」
 そのあと、夫は家の中へ入っていった。頰は暗い炎のように染まっている。

ミーガン・アボット『ガーリー・ショウ』
エドワード・ホッパー《ガーリー・ショー》1941年

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