見出し画像

八雲立つ出雲、国来と鰯引き

八雲立やくもた出雲いずも国来くにこ鰯引いわしひ

意宇と号くる所以は、国引き坐しし八束水臣津野命、詔りたまひしく、「八雲立つ出雲の国は、狭布の稚国在る哉。初国小さく所作れり。故、作り縫はむ」と詔りたまひて、「栲衾志羅紀の三埼を、国の余り有りやと見れば、国の余り有り」と詔りたまひて、童女の胸銀所取らして、大魚のきだ衝き別けて、はたすすき穂振り別けて、三身の綱打ち掛けて、霜黒募くるやくるやに、河船のもそろもそろに、国来々々と引き来縫へる国は、去豆の折絶より、八穂尓支豆支の御埼なり。此を以ちて、堅め立つる加志は、石見の国と出雲の国との堺有る、名は佐比売山、是也。亦持ち引ける綱は、薗の長浜、是也。

出雲国風土記
イリヤ・レーピン
《ヴォルガの船曳き》1870 - 1873年
ロシア美術館

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?