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春泥の夜の市場に姉売られ

春泥しゅんでいよる市場いちばあねられ

 ずっと姉が欲しかった。姉を飼うのが夢だった。
 脂祭りの夜、出店で串刺しにされてぎゃあぎゃあ泣き喚いていた姉ら。太い串に胴体のまんなかを貫かれているせいだったのだろう。たしかに、見るからに痛々しげだった。

遠藤徹『姉飼』
ペトルス・ヴァン・シェンデル
《獲物売り》1863年頃

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