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チェス入門記

今年の1月から突如オンラインチェスを始めた。ルールが分かる程度の初心者だったがすっかり魅了され、「1000試合」もしくは「レート1200」を目標にコツコツとプレーしてきた。12月の現時点で944試合・レート1222、ひとまず目標達成と言って良さそうだ。ここを一旦の節目として、取り組みを振り返っておきたい。

https://www.chess.com/stats/live/rapid/m2ku


きっかけ

一番大きなきっかけは、昨年にNetflixでヒットしたクイーンズ・ギャンビットという作品を見たことだろう。

この作品以外にも、チェスが登場する映像作品は多く、子供の頃から漠然とした憧れを持っていた。ハリー・ポッターと賢者の石でロンが巨大チェスを指揮する場面にワクワクした人も多いのではないだろうか。


取り組み

ここではチェス初心者が実際に取り組んでみて、良かったことを振り返りたい。

オンラインチェス

これまでも、友人と対面で指したり、スマホでCPUと対戦したり、などの経験はあったが、オンラインチェスの学習効率は比較にならないほど優れていると感じた。オンラインならば、試合後すぐにコンピューターによる解析結果を見ることができるので、どこが悪手だったのか、何が最善だったのか、素早く振り返ることができる。

また、基本的に時間制限ありで対戦するので、気軽にプレイできるのも嬉しい。例えば10分切れ負けのラピッドなら、試合時間は最大でも20分で、1時間もあれば最低3試合はこなすことができる(棋譜解析も含め)。チェスは世界中にプレーヤーがいるのでどんな時間でもすぐにマッチするのもありがたい。

なおチェスサイトはchess.comを使ったが、オープンソースで完全無料のlichessも人気が高い。こちらもいつか試してみたい。


チェスパズル

チェスパズルはいわゆる詰将棋のようなもので、チェックメイトや好手を見つける瞬発力を鍛えるという点で間違いなく役に立った。chess.comの制限時間5分の問題ラッシュにすきま時間を利用して取り組んでいた。


YouTube

チェスは配信文化が成熟しており、海外のグランドマスター(GM)による配信をYouTubeで気軽に見ることができるのも楽しい。いくつかお勧めのチャンネルを上げておく。

ヒカル・ナカムラは現在もトップで活躍する日系アメリカ人プレーヤーで、特に早指しに強く、持ち時間3分のブリッツでは現役最強プレーヤーのカールセンに次ぐ2位に着けている。プレイ配信のほか、雑談も含め精力的に動画投稿しており、その明るい人柄からファンも多い。世界的なポーカープレーヤーのDaniel Negreanuにレッスンを付ける動画は、ちょうどチェスを始めた頃に配信されたこともあり、非常に参考になった。


ChessbrahはEricとAmanという二人のGMによって運用されているチャンネルで、何やらおしゃれなイケてる空気感が特徴だ。このチャンネルのBUILDING HABITSというシリーズは個人的に最も参考になったチェス動画である。

このシリーズはGMのAmanが、それぞれのレーティングごとにプレーヤーが従うべき簡単なプレー原則を定め、それに従って駒を動かすだけで勝てることを実際に示すというものだ。是非自分のレーティングに該当する動画からでも見て欲しい。タクティクスに囚われすぎず良いプレー原則を習慣付けること("building habits")の重要性を痛感できた。

Agadmatorはトッププレーヤー同士の公式戦の解説動画をいち早く投稿しているチェス愛好家だ。注目の一戦をタイムリーに振り返りたいときなどに、彼のチャンネルをチェックすればきっと既に動画が上がっていることだろう。

上の動画は初心者の試合で頻繁に登場するFried Liver Attackがカールセンとの試合で使われたものである。対処法を調べるまで実際に何度も痛い目に遭ってきたこのオープニングが、トップレベルでも使われるのかと驚いたのを覚えている。


書籍

体系だった知識を学ぶため、チェスに関する本もいくつか調べた。元全日本チャンピオンの渡辺暁さんの本では、定跡やエンドゲームの背景をしっかりと基礎から解説してくれており、勉強になった。

二冊目のチェス講義の方は正直今のレベルではまだまだ難解だが、今後じっくり読み込んでいきたい。


これから

子供の頃から漠然とした憧れがあったチェスに、今回こうして集中して取り組めたのはとてもポジティブな体験だった。一方で頭を使うゲームに趣味として取り組むことの難しさも痛感した。作業が捗らず気分転換にチェスをと思っても、頭が回らずに負けて気分が更に落ち込むという悪循環は少なからずあり、11月以降はすっかり足が遠のいてしまった。

とはいえこれから長く細くチェスと向き合っていきたいという気持ちに変わりはない。いつかニューヨークの公園でストリートチェスを指すことを夢見て。


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