MAD et LENのポプリ 『服と暮らし』No.188
香りものは好きなんですが香りが強いのは得意じゃないので、ディフューザーの類を部屋に置くことはこれまであまりしてきませんでした。
妻と結婚する前に同居を始めた時、妻の部屋に置かれていたのがこの〈MAD et LEN〉のポプリで、部屋の中で空気と自然になじみながら物静かに香ってくれるこの鉄の器があって嬉しかったのを覚えています。
「ポプリ」という言葉が聞き慣れなかったのですが、”ポプリとは花や葉・香草、香辛料、木の実、果物の皮や苔、精油またはポプリオイルなどの香料を混ぜあわせて容器に入れ熟成させて作る室内香のひとつ。(Wikipediaより抜粋)”だそうです。
マドエレンのポプリは香りのエッセンスはもちろん、この鉄の器や外装の化粧箱まですべて手作業で作られるそうです。そのため器は不揃いでへこんだ部分があったり、うまく蓋が閉まらなかったりもするのですが、なんだかそんなところも味わい深い。現代の人は均一で正確なものに触れ慣れているぶんこういう違和感を受け入れられない人もいるかもしれませんが、個人的には「これはこういうもの」として受け入れたいと思います。
もちろん香りも良くて、家では 〈SPIRITUELLE(スピリチェーレ)〉という香りを置いています。世の中のモノには高くても良くないものや安くても良いものってたくさんありますが、僕としては「香りの良さと値段は比例する」というのが基本的な方針なので、安いものを色々買うよりは少し背伸びした値段のものを買ってみて、時間をかけてじっくりと味わうのがおすすめです。
それにしても香りをブレンドする人とか調香師って本当にすごいですよね。マドエレンのどの香りも複雑で何の匂い、と一言で言いがたいんですが、様々な要素がまるで重奏曲のように繊細に重なっていてとても贅沢な気分になります。
あと、これは余談なんですが、昨今流行っている病に罹ってしまったときに嗅覚がなくなってしまって、熱が下がってからもしばらく戻らなかったのですが毎朝ポプリに顔を近づけて匂いを嗅いでいると少しずつ香りがわかってくる(良い匂いがする!)のが嬉しくて、それまでインテリアの一部としてか見ていなかったポプリとずいぶん親しくなれたような気がしました。
エッセンシャルオイルを足した後など、香りが少し強くなってきたら蓋を閉じることができるのも、香りが部屋に充満するのが苦手な人に使いやすいんじゃないかと思います。部屋に香りが充満しているとなんだかトイレにいるような気になってしまうんですよね。最後に汚い話で申し訳ないんですが。
香りを染み込ませるポプリは溶岩石、琥珀樹脂、天然石と3種類ありますが、これは無骨な溶岩石がクールだと思います。
オイルがなくなった時はリフィルを買うこともできるので、これからも長い付き合いになりそうです。
MAD et LEN / ポプリ / ラバロック(溶岩石)プチサイズ ※レギュラーサイズ ¥22,000-
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次号のNo.189は4月22日(金)に更新予定です。
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