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儚い羊たちの祝宴 を読んで

ネタバレ注意。

儚い羊たちの祝宴、読了致しました。ハイカロリーで非常に面白かった。久しぶりに読む米澤稲信の短編集ということで、私の期待は最高潮に達しておりました。指先から脳髄まで米澤稲信成分に包まれてなんだか胎児のような気分だった。米澤稲信の本は昔、私の友人にお勧めされた満願と言う本しか読んだことがなかったのですが、それが非常に面白くて、私は即座に米澤稲信の虜になりました。長くなりますので、満願の説明は割愛しますが、非常に素晴らしい短編集でしたので、Amazonのリンクだけ貼らせて貰います。読んだら感想教えて頂きたい。

話がナナメに逸れてしまったので戻す。
儚い羊たちの祝宴は全てでバベルの会と言うものを一つの共通項にした五つの短編から構成される小説です。お金持ちと使用人の話で、帯にはでかでかと大どんでん返し!と、書いてある、書いているのですが、読了した後だとなんだかずれているように感じます。ストンと落ちる薄気味悪い終わり方、最後の一行で鳥肌が立つのは間違いないのですが、どこか違う。言い換えるなら、盛大なパーティをして誕生日ケーキのロウソクを吹き消す瞬間に絞首刑が執行されるみたいな、山道から足を踏み外して落ちる瞬間みたいな、そんな感じ。大どんでん返しと言うよりも、沢山の伏線が散りばめられていて最後の一行ですべての伏線が繋がるみたいな、そんな感じ。
私は儚い羊たちの祝宴に収録されている短編の中で一番魅了されたのは、「玉野五十鈴の誉れ」でして、オチが非常に秀逸だったのだ。

始めちょろちょろ、中ぱっぱ。赤子泣いても蓋とるな

この、玉野五十鈴の誉れは特に最後の最後まで我々にオチの匂いを嗅がせず、オチで一気に真相に迫る。凄く面白かった。私は読んでいる途中、既に真相がわかったと思い込んでいたんですが、。お出しされた真相は私の思考の遥か上だったのです。驚愕しました。ここまでするか、と。玉野五十鈴の誉れだけではない。短編五種全てが私の期待を良い意味で裏切り、驚愕させました。文章構成や語り方も非常に巧く私は即座に世界観に飲み込まれてしまった。読み返したい一冊ですね。



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