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あの日みた花の名前なんて僕達はとっくに忘れた

最近、久しい友人と会った。最早あるあるを超えてあるあるの上位互換を人類は作った方が良いのでないかと思うが、つまるところ最強あるあるである会話ジャブの「最近何してた?」質問が初手で飛んできた。
何してたって言われても……自分、何をしていたのでしょうか?とこちらが聞きたいくらいには清々しいまでに何もやっておらず、しかしながら「飯食って寝てた笑」「生活、やってました笑」といったクソおもんない大学生みたいな返しは絶対にしたくないのだが、やはり現状それ以外になにか成し遂げたことも、報告するようなデカいイベントもない。めんどくさいながらも頭の中のタンスを全て開け、服とかそこら中に散乱した状態にまでなり、ようやく飯・睡眠以外のカケラを見つけたところで「まぁ、アニメとか観てた」のアンサーを返した。
こいつを言い放った時の反応は主に何パターンかに収束され、一番多いのが「あ〜最近アニメとか全然みれてへん笑、今何がおもろいん?笑」である。これは日常の仕事や暮らしでいっぱいいっぱいです!という形をオブラートに包んだ表現であり、悲しいかな、若干の”オレ”は“ウチ”はもうそのステージ、超えてますよの意思表明のニュアンスを含んでいたりもする。その時もそうだった。俺はカウンターデッキぶん回す如く「おいおいまじかよ〜えっリコリコみてないん?それはないって!!ヤバいってうわ〜!!!マジでおもろいってあれ!」と中身のない高速詠唱を行った。向かいの友人の笑みはなんだか寂しそうであり、それに釣られてなのか俺もだんだん言葉数が少なくなる。わかっている。息が切れる頃にはもう「はは……いやホンマにヤバいって……」とこちらも苦味笑いになっていった。16時ちょうど半ごろの喫茶店は俺達以外誰もおらず、ただ煙草の煙を吐く以外の音は無くなり、それが一層、空気を重くした。
仕方ない。みんな忙しい。俺も何やかんや大人になってきており、少しづつではあるが周りを見る目が毎年0.2mm広がっているので、理解できる。それはそれで、決して皮肉を込めている訳ではなく、普通に正しいのだ。自分自身だってここ数年で身の回りの環境が大きく変わり、いや変わりすぎて最早把握すらできていない状態だが、成長、なのだろうか。人生のやっていきが少しずつだが上手くなっていっている気がする。なんなら自分自身の人生ではここ2、3年が一番楽しいまであるのだ。ん?なんだ、今この記事を書いていると最近色々していることを思い出してきた。インターネットの友達と遊びました。全く知識ないけど2回美術館に行きました。なんだ、言えばよかったじゃん。なんだよこの調子でイケるじゃん。「てかさぁ知ってる?前に〇〇がさ、マジアホなことしてて笑ったわ、そういえば最近どうよ、あ、マジで転職したん?」、悪くない。
────それでも、どこか寂しくなる。何か忘れていた大切なものを思い出して欲しい気分になってしまう。大昔サンリオピューロランドでハローキティが言っていた「仲良しの魔法を思い出して!」とかそう言う感じ。あの花だととっくに解散した超平和バスターズで、今も秘密基地で遠い目をしながら、成仏を待っているめんまのように。
時刻も過ぎ、予定の時間に近付いた俺達は喫茶店を出て待合場所へと向かった。悲しくなりかけた心は、これから行く居酒屋は黒ビールがうまいらしい情報で上書きされた。道中は「お互い色々あったよな」なんてちょっと寒いこと言い合いながら、思い出を掘り返していた。居酒屋について、そっからバカみたいに飲んで、何件か回って──気付いたらそいつはいなくなっていたし、友人2(ツー)が朝方に一蘭を食べては吐いていたのでそれどころじゃなかった。でも、朝起きては思い返していた。
ねぇ、直接は絶対に言わないけどさ、アンタにとっては、アタシと過ごしてやってきたことなんて、アホみたいなことばっかりだったけどさ……というか、クソ長い人生のミニイベントくらいのものなのだろうけどさ、アタシは結構今でも思い出すんよ……合宿で出来てないハレハレユカイ踊ったこととか、きんモザのアニメ観て喧嘩したこととか、とらドラ!で“ない”二次創作を徹夜で語った日とか……アタシにとってはどれも、キラキラした大切な宝物なんよ。あとS&P500のチャートを見つめるよりも、やっぱり萌えアニメ見つめたいんよ。わがままやけど、東京もいいけど、ちょっと大阪にも顔出してほしいんよ。ネオンがともる宗右衛門町なんよ。ここが出逢いの憎い切ない、恋の街なんやから───。


140文字より多い文章って着地点見失いがちですよね。自分、今それです。なんならタイトルを意味深につけた割になんも考えてへん。今度はちゃんとします。というか、何書きたいのかもうわからん状態になったのでここらへんで。ではまた。

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