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ぼくは!生まれたいんだ!!

とうとう臨月やさぐれ妊婦

やさぐれ妊婦の妊婦生活もとうとう臨月に入り、今日から正期産という日の妊婦健診で既に子宮は指一本分開いていると告げられた。

『順調順調!』

と、周囲のみんなは言う。
初産では子宮が開くスピードが遅い。
ここからどれくらいの早さで子宮が柔らかく開いていくかで安産かどうかも変わってくるのだろうなーと何となく思っていた。

そして、何となくだけどこの時点で8月11日という予定日を早めて7月中には出てくるかもしれない。
そんな風にも感じていた。
なんの根拠もなく、ただ何となくお腹の人はそうなんじゃないかなーと。

となると、お産が怖いやさぐれ妊婦はそわそわし始めた。
痛くないお産をする!!と日々過ごしてきてはいるけど、どうなるかなんて全く分からない。
肚も括って立ち会いもしないと決めたけれど、それでも揺れ動く妊婦心なのだ。

『なんだおぬし、まだそんなこと言うているのか?』

金色の集団が後ろにいて逆行で迫力ましましなのだ。

『これでも不安か?
我が布陣は完璧ぞ?ん?』

今まで必要な情報を与えたり、人の営みについて教えてくれたり、お産に向けての生活全般でサポートについてくれていたイザナミのおばあちゃんが金色の集団を後ろに侍らせて凄みをきかせる。

『お前はよくやった。
全ての準備は整っている。
何もせずに心穏やかに待て。』

そうだ。
この鬼軍曹…いや、イザナミのおばあちゃんと歩んだこの10ヶ月。
・自分の子育て観や価値観に徹底的に向き合い、
・毎日のストレッチも欠かさずやり、
・糖質と動物性油脂を極力抜いた『まごはやさしい』食生活を続け、
・心と体のメンテナンスを常に続けてきた

自分1人の体だった時とは全く違う判断基準と価値基準の中で何とかやさぐれながらやってきた。
いやぁ~ほんとよくやったよね!!!!
私すごい頑張った!!
もうお産は頑張らねぇわ!!笑
(実は頑張ってください!と言われる度に違和感だったのだ。)

やさぐれ妊婦の力はそんな風に抜けた。
何にせよ、子宮はもう既に開き始めている。
あとはタイミングだ。

生まれたいエネルギー

そんなやさぐれ妊婦を異変が襲ってきたのはその2日後。
夕方から夜にかけてお腹が張るようになって、お産に向けての体の変化も始まっていると感じていた頃合いだ。

お腹がずっと張りっぱなしな上に、お腹の人が忙しなく動きまくっている。
波もリズムもないからこれは陣痛じゃないとすぐに分かった。
というか、陣痛じゃないとイザナミのおばあちゃんが教えてくれた。
ぎゅうぎゅうにお腹が張っているのに…お腹の人が落ち着きない。
思わずパートナーたっつんにこんな言葉が出た。

『お、お尻の穴が取れそう…!!』
『それはまた…すごい表現だね…。』

お前、その顔一生忘れないからな!っていう神妙な顔をされた。
普段がポーカーフェイスなたっつんにしては珍しい戸惑い具合だった。
そうとしか言えないんだよ!こっちは!!
やさぐれ妊婦はまたやさぐれだした(笑)

お腹を触って張りを確かめたたっつんもこれは陣痛ではなく、また普通のことでもないと思ったのかエネルギーワークで調整に入る。

『お腹の人だ。』
『んぇ?』
『お腹の人があれもしたい!これもしたい!って前のめりになってる。』

なんとお腹が張りっぱなしでお腹の人も忙しなく動きまくっているこの状態はお腹の人の『生まれたい!!』というエネルギーが引き起こしたものらしかった。
※あくまでやさぐれ妊婦の場合です。

そう言えば、まだ子供を授かる生き方を受け入れられない頃にお腹の人に『私は私の人生を諦めたくないから、あなたが生まれるのを諦めて』と伝えたことがある。
そんな時にお腹の人は『それは出来ない。僕は生まれると決めている』と突っぱねたのだ。

ぼくは自分の命を譲らない。
例えそれがあなたでも。

これはあの時のエネルギーだ!!
しかも、あの時よりもっとダイレクトに強く感じるようになっている。

『お腹の人でもそんなことがあるんだねぇ…。
落ち着け落ち着け。』
『そりゃそうだよ、みんな意志があるんだもの。』

たっつんに宥められてすっかり大人しくなってきたお腹に手を添えて一段落する。
お腹の人が前のめりになってもお産は始まらない。
あくまでお腹の人と私のタイミングが重ならなければ体は正常に反応しないし、お産は進まないのだ。

前のめりにならなくても、もうお腹の人の意志はこの世界に受け入れられている。

本当は私たちにもあったんだろうな。
いや、今も忘れてるだけであるんだろうな。
『私は生まれると決めている。
この世界でこれをやりたいんだ!!』

ってこと。

生命のエネルギーは本当にしなやかで強い。
やさぐれ妊婦はその力をダイレクトに腹に感じて…もうぐったりだった(笑)

お腹の人のエネルギーに触発?

そして、その日の夜…お腹の人のエネルギーに触発かれたからか、やさぐれ妊婦にはおしるしが来ることになった。

おしるしはお産の直前に現れる体の変化の兆候で、おしるしが来てから1週間以内から数日にはお産が始まるとされている。
※でも、これにも個人差がある。

正期産に入ってすぐに子宮が開き始め、その2日後にはおしるしが来る。
この一般的には早すぎる体の反応に実母はすぐに電話をかけてきて『お腹痛くない?腰は痛くない?』と聞いてきた。

どちらも痛くはないと伝えれば、『そうなの?まだなのかしら?』と不思議そうにしてる。
不思議そうにしてるいるが、痛くないお産をすると決めてやってきたのだから、陣痛もお産も痛くなくていいのだ(笑)

予定日が8月11日で初産だからきっとお盆過ぎるね~なんて一般的なお産の感覚で予想することはもうやさぐれ妊婦のお産には当てはまらないのかもしれない。

なにせイザナミのおばあちゃんがサポートに入り、子を宿し、産み、育てるの本来の形を遺憾なく発揮するために私もたっつんもみんなみんな頑張ったのだ。

お腹の人の準備が整い、外で生きられる状態が整えばお産のタイミングも早まるのかもしれない。
母体がお腹の人のタイミングに応え、柔らかくいつでも開く準備が出来ていればオッケーなのだ。

今のお産の形が本来のものとかけ離れていればいるほど、今の一般的なお産の常識はやさぐれ妊婦のお産には当てはまらない。

『今のお前たちが生きる社会の形は子を宿し、産み、育てるに適した形とは言えぬ。
その社会の中で生き、育ってきたお前たちもまた子を宿し、産み、育てるに適した体と心をしていると必ずしも言えぬのだ。
男も女もな。
それが生物としての本懐の1つであったとしてもだ。』

『だが、これだけ自由に生き方を選べる世で子をなすことだけが幸せでもあるまい。
好きに生きよ。男も女もな。』

イザナミのおばあちゃんはあのニヤリな顔でそう語る。
生まれたい!というお腹の人のエネルギーに触発されるように応えるように反応したやさぐれ妊婦の体の変化。

初産だからお産が遅れる。
そんな定説だって本来のお産の形から考えたらどういう風に変わっているかも分からない。
いくら今の感覚でそれが一般的でも、もっと違う形のお産なんて意図的にいくらでも実現出来るのかもしれない。

『私、どんなお産になるんだろうなぁ…。』

残すところはお産本番。
やさぐれ妊婦の妊婦生活の終わりが見えてきた。

リアルな見えない世界の体験を綴ろうと思っています。自分が感じた感覚をそのままに。私の大切にしたい世界が伝わることを願って。見えない世界も大切にしたいと思う方はサポートしてくれると嬉しいです。