見出し画像

モノブライトに恋して。

きっと、後にも先にもこんなに好きになるバンドはいない。

それがわたしにとってのモノブライトだ。


でも最近はほとんど聞いていない。

なぜならわたしとモノブライトの時間は2017年12月20日で止まっているから。


このnoteによってわたし以外の誰かがモノブライトの音楽に触れてくれることを願って、この先の文章を書くこととする。




出会いは2008年4月。

地元を離れてひとり暮らしを始めたわたしは、テレビは買わず、実家から持ってきたコンポと大量のCDとMDがお友達で、家にいるときはひたすら音楽を聴く、というような生活をしていた。

「なんかいいのないかなぁ」と近所のTSUTAYAのレンタルコーナーに行って出会ったのが1stフルアルバム「monobright one」。

「"白ポロ眼鏡に黒スキニー"、"ひねくれポップロック"とかいう触れ込みで去年メジャーデビューしたとかいうのがこのバンドか!」とCDジャケットをすぐに見てわかった。もちろん早速レンタルして帰った。


聞いてみれば確かに一筋縄ではいかないサウンド。

特に「歌舞いた魚ディスコ」の、全員が好き勝手に自分のスキルやテクニックを押し出してプレイしているようにみえて、一曲としてきちんと成立していることにとても衝撃を受けた。


そのすぐあと、映画「アフタースクール」を見に行く機会があった。

エンドロールが流れるまで主題歌がmonobrightだとは知らず、「あの透明感と少年」の「♪フフッフゥ〜」のフレーズが頭から離れなくなり、「なにかに導かれているんだろうな」と思わずにはいられなかった。


それ以来新譜が出ると必ず聞いてはいたが、ライブに行く機会はなかなか巡ってこなかった。



初めてライブを見たのは2011年1月。

ヒダカトオルとの結婚(加入)後の「ハネムーンツアー」と銘打たれたものだった。



そこで一気にわたしの心はもっていかれた。


「百聞は一見に如かず」とはまさにこのこと。

白ポロ眼鏡でちょっとなよっとしていた(失礼)気の弱そうな青年たちはどこへやら、黒シャツにネクタイを締め、サングラスでキメたメンバーは、見た目に違わぬマッシブな演奏でわたしを驚かせた。


かと思えばVo.桃野のMCは、格好良い演奏とはうって変わって、噛むし、まとまらないし、でも一生懸命で、ファンを楽しませようとしていて、愛おしくなった。



その日のライブ以降、楽曲だけでなくメンバーそれぞれのことをもっと知りたくなって過去のブログやツイッターを夢中で読み漁った。

どんどん好きになっていった。

自分の中での存在が大きくなってゆくのを感じた。

「次に近くでライブしてくれるのはいつだろう?」とそれだけを楽しみに生きていた。

その繰り返しで気付けば6年半が過ぎていた。




2017年10月1日。

リリースツアーでもなんでもないツアーの最終日。

いつまでもこんな風にライブを見られると、何も疑っていなかったところに突然落ちてきた【無期限活動休止】という名の隕石。


わたしは思ったより冷静で、同年代のバンドの解散や活動休止が相次いでいた頃だったのもあり「その時が来てしまったか」とだけ思った。

そんなこと言いながら2ヶ月半後のラストライブでは大号泣しているのだが。



わたしが追いかけた6年半の間、とにかくモノブライトには振り回されっぱなしだった。

D10の公約宣言、ヒダカトオルとの結婚離婚、ライブレコーディング、9週連続対バンライブ、「やりたいからやる!」と実現させたZeppTokyoでのワンマンライブ、なんといっても二度のバンド名表記変更…

わたしたちリスナーはその度に驚き、いい意味で裏切られてきた。

でもそれが幸せだった。




なぜそれほどに好きだったのだろう?と今改めて考えてみる。

それは「わたしがライブに求めるものを体現していた」からだと思う。


確かな演奏力を持ち、底抜けに楽しい曲は底抜けに楽しいし、切なくて情緒に溢れた曲は曲の世界にどっぷりと浸らせてくれる。

そしてMCではこちらを楽しませてくれる。(ここが重要)

ストイックに曲を演奏し続け、MCは一言二言で終わってしまうようなバンドにはどうも惹かれなくて、「曲以外でも今日のこのライブを楽しんで帰ってもらおう」という姿勢が見えるバンドのことを応援したくなる性らしい。



モノブライトには”ライブDVD”という映像作品が残っていないかつ活動休止中であるため、演奏している音と映像はアルバムの特典DVDでのドキュメンタリーやYouTubeに上がっている数本のMVでしか現状触れることはできない。
わたしが感じたモノブライトの魅力を伝えきれないのが本当に残念で仕方がないのだが、少しでも興味が湧いたらぜひCDを手に取るなり、サブスクで検索してみてほしい。


あえてわたしからおすすめの曲などは挙げない。

アルバムによって世界観がまるで変わるのでどれがハマるか保証できないから、という理由もある。

王道を行くなら「monobright two」、実験の過程を体感したいなら「ADVENTURE」「新造ライブレーションズ」、休止前の最新を知りたいなら「Bright Ground Music」といったところか。



休止になってからもうすぐ2年になる今でも、最後のライブの思い出がよぎってまともに曲を聞けずにいるわたしだが、以前のように「気づけばまた聴いている」、そんな日が訪れることを願っている。

それは活動再開なのか、わたしの気持ちの整理がついたときなのかはわからないけれど。

そしてその頃には「気づけばまた聴いている」リスナーがわたし以外にもたくさんいてくれたらいいなと思う。


お気に召していただけたらサポートいただけると幸いです。執筆環境整備に充てさせていただきます。