私たちが暮らした緑
実家の最寄駅の何個か前で、特急列車からボーイスカウトの集団が一気に吐き出されると、「うわ、あちー!」と弾んだ声が響いた。彼らの指導者らしき恰幅のいい男が、そこそこ重そうな荷物を背負いながらも余裕の笑顔で彼らの後ろを着いていく。体格の様々な子どもたちがみんな揃って瞳を輝かせて周囲を見渡し、「木ばっかだ」と笑い合う。溢れる緑、薄い青色をしただだっ広い空。私には見慣れたそれが、恐らく都会育ちであろう彼らには非日常になっている。帽子についているバッチが太陽に照らされて眩しいくらいに光