また高齢者いじめか。

 ひがんで申し訳ないが、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、どの程度のことになるか知らないが、政府は高齢者の広い収入層で保険料の引き上げを狙っている。後期高齢者の医療費の約9割は、現役世代の保険料や国と地方の予算で賄われているという理由が根拠となっている。
 これをできるかぎり減らしたいのが本音である。後期高齢者医療保険の収入を増やす前提で、年内に結論を出し、来年の通常国会で関連法案の提出を目指す。しかも、全ての世代が支え合う制度へと転換する「全世代型社会保障」の一環で、高齢者人口が増える中、後期高齢者の幅広い層に一定の負担を求め、限界に達しつつある現役世代の負担増を抑えるのが狙いというのが謳い文句である。
 いきなり口を塞がれた感じがする。2022年9月28日政府の意見には何事でも頷く例のごとく例の有識者で構成する「全世代型社会保障構築会議」を開催した。案の定、私たちの全くあずかり知らぬところで、一方的に現役世代の負担増を抑制する方法を早急に議論し、結論が先にありきで議論も何もあったものではなく、結論を得る必要性を確認したという結果を引き出した。
 そして、29日から厚生労働省の審議会部会で議論を加速させるようだが、すでに官僚は詳細な草案を作成済みで、後の問題は微細な修正か訂正くらいだが、政治家が多少物言いを付ける余地は残してある。しかも、税金とか増税とか負担増とか値上げとか、こういった仕事は政府の究極のビジネスと言え、常に何事も素早いのである。
 後期高齢者医療制度は75歳以上を対象とする公的医療保険で、2008年に始まった。市区町村で構成する都道府県ごとの広域連合が運営し、これまでの窓口負担は原則1割で、現役並みの所得がある人は3割を支払う。
 現在も負担増を行っており、この10月から1割負担の人の中で一定の所得がある場合、負担が2割になった。2020年の総医療費43兆円のうち、後期高齢者の医療費は16.6兆円で、38.8%で約4割を占めた。この医療費の1割は後期高齢者医療制度の保険料で、これに加えて国と各自治体の公費と現役世代が加入する健康保険組合などの公的医療保険の拠出による支援金で賄われた。
 現在の後期高齢者医療保険の料金は収入に連動し、全国平均で年7万7663円である。加入者全体の約1.3%に相当する富裕な高齢者は、年間上限額に当たる66万円を支払っている。
 政府は上限額の大幅な値上げを考えており、収入が年金だけなら年収906万円以上、給与も含めて1016万円以上の人が対象になる。こういった1%程度の富裕層に限って、
保険料の徴収を増やすならば、余り問題はなさそうだが、政府はそれ以下の収入の人からの値上げを検討している。そうなると、多くの高齢者に影響が及び、ぼったくりである。

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