新規感染者数と死亡数に関する考察。
2023年1月7日午前0時までに報告された全国の新しい感染者は23万8654人で、1週前の12月31日と比べると、13万1033人増加した。死亡者は463人で、過去最多を更新した。
過去最多でも内容の乏しい発表や報道では、個人的に周囲に対する行動やリスク管理が自ずと違ってくるはずでも、具体的にはどう対応して良いのか分からない。新規発症者と死者数だけではなく、新規患者や死亡者の年齢層、地域性、感染経路、ワクチンの接種回数、変異株の割合と臨床症状、検査数や検査の陽性率など、適宜もっと詳しい内容が必要である。
昨年11月初旬から新型コロナ感染症の第8波が到来している。感染者の増加とともに死亡者も増えるが、この1か月ほど過去最多を記録した。わが国では死亡者のほとんどはオミクロン株による。
オミクロン株が日本に上陸して猛威を振るい始めたのは、昨年1月の第6波からで、感染力は強力だが、重症度は低く、普通の風邪と同等に考え、油断していた人も多かった。しかし、これまでの約3年間の新型コロナ感染症の死亡者6万人のうち、この1年間で約4万人が亡くなった。
元々、政府は的確な情報を国民に知らせてこなかった。新規感染者も死亡者も全国の感染状況の一部を反映しているに過ぎないと考えるのが良い。またいつまでも飛沫感染や接触感染にこだわり続け、飲食店での伝染に重きを置き、学校、職場、家庭での感染経路を軽視し、コロナ禍を大きくしたところがあった。
コロナ規制緩和後はさらに情報が少なくなった。メディアもコロナ報道には関心を失ったようで、国民は暗闇に包まれているが、現在の厚労省もどの様に対応したら良いか解らないかもしれない。
1月8日の東京都の感染動向を見ると、新規陽性者は1万5124人、死亡者は28人で、PCRと抗原検査の陽性率は37.6%を示した。単純に計算すると、致死率は約0.2%である。
感染症流行時に全体の状況を知るには検査の陽性率は3%程度が望ましいとされる。そうなると、東京都の陽性率は約10倍で、いわゆる濃厚接触者だけに検査を施行している様子が窺える。
元々、新型コロナ感染症は変異株による多少の違いはあっても、7割、8割は無症状者か軽症者で、感染していても検査の対象から外れる人が圧倒的多数という事実を今一度思い起こす必要がある。安易に発表の新規感染者の5倍、10倍と断定するのは早計にしても、政府の専門家も2倍はいると予測する。
2倍で計算すると、致死率は0.1%で、5倍と仮定すると、0.02%となる。1年間で約4万人の命が失われたというが、とくにオミクロン株の病原性が格段に強力になったという報告は少なく、感染者がそのぶん増加したと推測する。
コロナ診療に携わる臨床医師の一人は、重症者数が増えていないのに死者数が高いのは、人工呼吸器や集中治療室の適応外で、軽症・中等症病床で亡くなる高齢者が増えているが、この実感以上に多数の感染者が存在すると指摘する。最近は自主検査で感染が判明した軽症者は、感染の登録を行わない人も数多く、実際の感染者数は公表よりもかなり多いのが実情だろう。
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