国の予算について。

 2023年1月19日、政府は23年度予算案の一般会計歳出の総額を114兆円程度とする方針で最終調整に入った。本年度も人口の高齢化に伴い社会保障費が増大し、22年度の107兆5964億円から6兆円以上も膨張した。
 長年の経済停滞が続くところへ、コロナ禍による不景気が重なっても、国家予算は5年も連続して100兆円を超えた。むしろ、こんな時は縮小になると思われるが、11年連続で過去最大を更新した。
 今年も新規国債は35兆6200億円程度発行する計画で、歳出の3割以上を借金に頼り、収入の多くを借金に依存する体質は変わらない。予算が先にありきで、国民生活の救済と経済の立て直しは二の次としか思えない。
 これほど国民が困窮する時期に防衛費を増やす必要はないが、防衛費は22年度の約5兆4000億円から1.2倍以上も増加し、6兆8000億円程度と過去最大に上る。政府は23年度から5年間で防衛費を約43兆円増額する計画の一環で、22年度に比べて大幅に予算額が膨張する。
 予算には主に一般会計と特別会計の2種類があり、前者は一般的な行政の経費、後者は特定の事業を扱う。両者の会計で重複する項目が相当数あり、財務省は国家予算の全体像を把握できるように重複を除いた「純計」を発表する。20年度の会計をみると、歳入純計で244兆4000億円を示し、特別会計が多いのがわが国の予算の特徴である。
 公文書や公表は義務教育を終了した人にも、容易に理解できなければならないが、常に役人の説明や作文は晦渋難解である。この会計は食糧管理、厚生保険、財政融資資金など18部門あり、機能により事業特別会計13、資金運用特別会計2、その他に大別されるが、詳細は明らかにされることもなく、隠れた予算と言える。
 一方、財務省は1月23日23年度の特別会計予算案の歳出総額が22年度に比べて25兆4000億円少なくなり、441兆9000億円になると公表した。純計予算はその半分で、一般予算の約2倍に相当する。
 政府が低金利で資金を長期間貸す財政融資向けに確保する予算を13兆円減らし、12兆円とした点が減少の主な要因となった。これが金融引締め策の一助になるかどうかそんな難しい話は知らない。
 一般会計に戻ると、歳入のうち税収は69兆4400億円と今年より4兆2050億円も増加する胸算用だが、主に物価高による消費税の増収が狙いだろう。財務省の「国民負担率の国際比較」によると、わが国の潜在的国民負担率(将来世代の負担である財政赤字を含む)は22年度(見通し)で56.9%に達している。米国、英国、ドイツをはじめとする先進諸国より高く、福祉国家として知られるスウェーデンをも上回り、現時点でトップクラスの国民負担を強いられている。
 ともあれ、わが国の予算は両者併せて335兆円で、無駄も多いようだ。予算は一つの会計にまとめ、浪費を廃し、整理整頓を行い、防衛費や公共事業の大判振る舞いは止めにする。また古くから存続し、意義が失われた種々の補助金や利権を整理するのも重要である。
 1割程度は節減できそうな気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?