G7プーリアサミットの現実。

 2024年6月13日から15日までの間、イタリア南部の美しいプーリア州ファサーノで開催されたG7首脳会議は、世界の主要国の首脳が一堂に会し、国際会議の模様を呈した。
 議長国のイタリアをはじめ、カナダ、フランス、米国、英国、ドイツ、日本、そして欧州連合の首脳が参加した。その他にアルジェリア、アルゼンチン、ブラジル、フランシスコ教皇、インド、ヨルダン、ケニア、モーリタニア(アフリカ連合(AU)議長国)、チュニジア、トルコ、アラブ首長国連邦の11ヶ国の首脳が招待された。また国連(UN)のグテーレス事務総長や経済協力開発機構(OECD)をはじめとする5つの国際機関の代表者、ゲストとしてゼレンスキー・ウクライナ大統領が招かれた。
 今回のサミットではアフリカの気候変動と開発、中東情勢、ウクライナ情勢などが主要な議題として取り上げられた。これらの議題は米国と同盟国に対する国際的な勢力が拮抗している現状を反映している。
 今回はフランシスコ教皇、グテーレス氏、ブラジル、インドなどの第三勢力の大国が参加しており、有益で有意義な議論が大いに期待された。この首脳会議の後、スイスで15日から和平を模索する「平和サミット」が開幕するが、そこで平和の道が提案されるだろうという予測もあった。
 しかし、各国が自国の利益を最優先に考えるため、解決策を見つけることは困難であった。とくに米国はイスラエルとウクライナに大量の武器を送り、両国の後ろ盾になっているため、和平の鍵を握っている。バイデン大統領の決断が求められる中、具体的な解決策の提案はなかった。
 米国の国際的な影響力は低下しており、また国内では学生運動を中心とする世論は和平の動きが活発でも、軍産複合体やユダヤ勢力は強く、一方に組みすることができない難しい立場にある。そのため外交政策は混乱と矛盾に満ちており、確かな解決策は出ない。
 首脳声明はロシアによる侵攻が続くウクライナへの変わらない支援を明確にした。制裁で凍結したロシア資産を活用し、ウクライナに500億ドル(約7兆8千億円)の提供を決めた。また北朝鮮とロシアの軍事協力を「可能な限り最も強い言葉で非難する」とした。
 さらにパレスチナ自治区ガザ情勢を巡り、バイデン米大統領が公表した新しい包括停戦案を支持する。そして、ガザ最南部ラファへの全面的な攻撃を深く懸念し、イスラエルに攻撃を控えるよう求めた。
 声明はこれまでの繰り返しとも考えられ、成果は少なかった。

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