国際幸福デー。

 毎年3月20日は国際幸福デーで、今年も国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークは、世界の国や地域の「幸福度」をランキングにした24年度版の報告書を公表した。わが国は143か国中、51位の評価で、主要7か国(G7)の中で最も低かったが、韓国や中国を上回った。
 幸福度は単に経済的な豊かさだけでなく、健康、教育、社会的支援など、人びとの生活の質を総合的に評価する指標である。このランキングは1人あたりのGDP、社会的支援、健康寿命、人生の選択の自由度、寛容さ、腐敗の認識という6項目を分析する。
 この「世界幸福度報告書」は国民の主観的な幸福感を測るための重要なツールとなっており、政策立案者や研究者にとって貴重なデータとなる。今年はフィンランドが7年連続で世界一の幸福な国と評価された。
 これにはフィンランドが提供する高水準の福祉、教育、社会的平等といった要素が、国民の幸福感に大きく寄与している。 デンマーク、アイスランド、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧諸国が上位を占めるのは、これらの国が社会保障や教育制度において、高いレベルのサービスを提供している理由による。
 昨年の47位から順位を下げたわが国の51位は、社会的支援や個人の自由度、腐敗の認識といった項目において、改善の余地が大きいことを示唆している。その中でとくに人生の選択の自由度と他者への寛容さの向上が肝要であるとされる。
 これらの改善には、社会的な取り組みや政策の見直しが必要であるが、それよりも個々の人の意識改革が重要である。また少子高齢化社会も幸福度に影響を与えており、若い世代の未婚化、晩婚化の背景にある社会的、経済的不安を解消する必要性がある。
 超大国の米国の23位は、若年層の幸福度の低下による。このことは社会的、経済的な不安定さや、教育へのアクセスの問題など、若者が直面している課題が反映されている。米国が初めてトップ20から外れたことは、国として幸福度の向上に向けた新しい取り組みが必要となるだろう。
 幸福度のランキングは、単なる数字以上の意味を持つ。それは政策や社会システムが、国民の幸福にどのように影響しているかを反映する点から、各国はこの報告書を参考にしながら、国民の幸福度を高める政策を検討し、実施する。
 幸福度を引き上げるには、経済成長だけでなく、教育、健康、社会的支援といった要素をバランス良く整備する。また国民一人ひとりが幸福を感じるためには、社会全体の努力が必要で、政府だけでなく、企業や市民社会も含めた多方面の協力が不可欠となる。
 幸福度は個人の主観的な感覚に大きく依存する。国の政策や社会システムがその感覚を形作る上で重要な役割を果たすのは間違いない。世界幸福度報告書は、それぞれの国が直面する課題を理解し、より良い社会を築く指針となる。

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