個人金融資産について思うこと。

 2023年の10月から12月にかけて、個人金融資産は前年同期比で5.11%も増加し、2141兆円に達した。これは個人の所得や預金の大幅な増加によるものではなく、企業の好調な業績と株価の上昇が主な要因だった。
 とくに投資信託は22.4%増加し106兆円に達し、株式も29.2%も増え276兆円に上った。これらはいずれも過去最高を記録したが、その恩恵は主に富裕層に限られ、一般市民にはほとんど影響のない結果だった。
 保険商品はわずか0.7%増え381兆円となったが、これは円安が進行し、外貨建ての保険商品が価値を増したことによる。株価の高騰はわが国の経済の実態を反映しているわけではなく、外国投資家の影響力やインフレの進行によって上昇した。
 日本銀行による国債の保有割合は53.78%に達し、これは政府の財政政策と密接に関連する。日銀が大量の国債を保有することで、低金利環境を維持し、経済成長を促進する狙いがあるとされる。
 しかし、この政策には限界があり、過度な国債の保有は円安やインフレといった長期的なリスクを引き起こす可能性が高い。インフレが加速すると、ハイパーインフレに至る。今、まさにわが国はこの危機的な状況に直面している。こうなると、預金の価値は大幅に低下し、日銀が保有する国債の価値も下落する。
 肝心要の個人の現金・預金は1.0%増加し、1127兆円となったが、冬のボーナスによるものとされる。この微増は経済の低迷を示す何よりの証拠であり、労働による個人の所得増加が見られず、老後の生活に対する懸念が増大している。またこれらの懸念や不安は、国民が現金や預金を保有する主な理由となっている。
 経済や金融に関する知識が乏しい私の見解では、政府とくに財務省は国民の現金や預金に狙いを定め、経済状況に関わらず、インフレを引き起こして、1127兆円を半減させようとしている。とすれば、国の借金も半減する。
 資産の多くを持っているのは高齢層で、彼らの大半は年金生活者で、現在一番痛みを受けている。コロナ禍の後にインフレが始まり、国民の間でそんな予感が現実味を帯びるようになり、旅行や遊びに出かける高齢者や家族連れは少なくなった。物価も高いばかりで、買い控えが広がり、消費は低迷している。
 このような状況で持続可能な経済成長を目指すには、政府はインフレ抑制や円安対策、一方で国民の所得増加を促進する国民負担率の軽減、賃金の引き上げ、消費税の廃止などの政策を打ち出す必要がある。経済的な繁栄は全ての国民に等しく分配されるべきであり、それには透明性と責任ある政策が求められる。

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