金融機関の不祥事とスキャンダル。

 2024年7月9日、朝日新聞は三菱UFJ銀行の取引先に関する未公開情報が外部に漏れ、不正な株取引が行われた疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が5月に本社(東京都千代田区)などに金融商品取引法違反容疑で強制調査に入ったと報道した。
 この件は一部の行員が取引先の企業に関する未公開情報を親族らに漏らしたことで、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反で調査を行った。情報管理の重要性を改めて浮き彫りにしたが、報道が取り上げるのはごく一部で、顧客情報の漏洩を含めて、隠蔽体質の金融機関の不祥事やスキャンダルは決して珍しいものではない。信用金庫や農業協同組合などの協同組織金融機関においては、着服や詐取が後を絶たない。
 金融機関は国民経済の健全な運営に大きな役割を果たしていると言われる。しかし、こういった事例を見ると、こういった主張には疑問が出てくるのは当然である。これほど景気が悪く、庶民の生活が苦しい状態が続くと、金融機関もこれに加担していると思われるところもある。
 こんな状況では消費者や企業は過度な借入を行い、借金が増大する傾向がある。大企業は別にして、一般に金融機関は新しい貸出を控える傾向が強く、貸し渋りによって、さらに経済活動全体が停滞し、景気の悪化に拍車をかけていると考えられる。
 またしばしば自己の利益を追求するために、不適切な行動をとる場合がある。例えば、適切な審査をせずに融資を行ったり、顧客から不適切な手数料を徴収したりする。こういった行為も金融機関の信頼性や公平性を損ない、経済に悪影響を及ぼす可能性がある。
 また再開発や都市開発や道路工事などさまざまな公共事業によって、しばしば金融機関は政府や自治体と密接な関係がある。これらのプロジェクトに資金提供する一方で、その過程で不透明で不公平な取引が行われる。
 さらには土地の不透明な売買や取引、正体の知れない仲介業者や中抜き組織、あるいはこれに伴う住民訴訟や境界線など裁判などにも公共の資金が不適切に投入される場合もある。役人は本来自分の担当するべき仕事でも、地元の銀行や信用金庫に丸投げをして、税金を乱費することもある。
 以上の諸点から、透明性と信頼性については、いつも慎重な視点で考察する必要がある。公共の利益を追求し、金融機関は法令や業務上の諸規則を厳格に遵守し、健全かつ適切な業務運営に努めるべきである。
 こういって諸点が十分に果たされていない場合、その結果は顧客ばかりでなく、経済全体に影響を及ぼす可能性がある。私たちは金融機関の行動について、常に厳しい目で見る必要性がある。

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