7月21日

2016年7月21日、木曜日。曜日までしっかりと覚えているほど、私にとって忘れられない大切な日。

その日、私は先輩とテニミュことミュージカル「テニスの王子様」を観に行きました。東京ドームシティホール第2バルコニー3列目センターという、とても観やすい席でした。
私のテニミュ観劇はこの日が初めて。小さい頃に影響されてテニスを始めたほど原作は好きでしたが、テニミュがきっかけで原作とはそぐわないイメージがついてしまったキャラクターがいたことが悲しく、長年2.5次元ミュージカルへの忌避感を抱いていたからです。
けれど観劇を趣味にするようになってから、素敵だと思う役者の出演歴にテニミュを見つけることが多くありました。実力のある役者を世に送り出している作品に忌避感を抱き続けるのは、ただの偏見かも知れない。そう思い直し、観劇仲間の先輩を誘ってテニミュのチケットを取りました。

そうして迎えた開幕。
テニスのラリー音と共に幕が上がって、青い照明の中から躍り出たのは越前リョーマ。私は「本当にリョーマくんがいる!」と驚きました。カッコつけるように帽子のツバを跳ね上げて不敵な笑みを浮かべる青年。その姿は確かに噂の超ルーキー・越前リョーマでした。
ほどなく始まった青学のナンバー「オール・フォー・ テニス」に、私は全身に鳥肌が立つのを感じました。力強いステップのダンス、鋭く空を切るテニスラケット、胸が震えそうなほど圧のある歌声。そこにあったのは間違いなく、小さい頃から憧れていた青春物語「テニスの王子様」の世界でした。

「もう一度観たい」という気持ちが抑えられず、地方公演のチケットが取れる日を探してテニミュを観るために地方へ飛びました。臆病で引っ込み思案な自分にそんな行動力があったなんて、自身でも驚きました。今ではもう、ひとりでどこへ行くのだって怖くありません。知らない場所に行くのも、知らない人と出会うのも、楽しめるようになりました。
また、公演を観ていく中で「この人のお芝居が好きだな」という役者を見つけて、彼の仕事を追うようになりました。彼の芝居をじっくり楽しみ、感想の手紙をしたため、出演祝いのお花を贈り、仕事が決まったら喜ぶ。何の見返りも求めずにひとつの才能を信じ続けるのが、こんなに楽しいなんて知りませんでした。今を生きるのに精一杯で自分のことしか考えられなかった狭量な私が、誰かを信じて将来を楽しみに見守ることできるようになったのは、いつも期待以上のものを見せてくれる彼のおかげです。

私がいつの間にか失ってしまっていた情熱や勇気を、舞台に立っていたテニスの王子様たちにもらいました。私の人生は、あの日からパッと明るくなったのです。

そして今日は、4度目の7月21日。
今年もまた東京ドームシティホールに先輩と並んで座れる幸せを噛み締めて、最高の夏を味わって来ます!

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