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30歳から始めた不妊治療とかかったお金の話

#妊活 #不妊治療

不妊治療専門のクリニックで約1年間治療し最終的には顕微授精で妊娠成立となった。それまでの治療の流れとかかった費用について保険適用分と自費分に分けて書き留めておきたい。また話題の性質上病名・手技名が頻出するが、この記事の趣旨は不妊治療の流れと費用についてなのでほとんど説明しない。そちらについて知りたい方はもっと正確な情報源をあたってほしい。

我が家は私も夫もフルタイム勤務の共働き世帯だ。いつかは子どもを持ちたいと思いながらもなんとなく避妊を続けていたが、染色体異常をはじめとしたリスクを考慮すると35歳になるまでには出産したいと思っていたので、私が30歳を迎えて以降は避妊を辞め、基礎体温の記録とタイミング法を始めた。しかし半年経っても妊娠が成立しないため、30歳を過ぎた以上は早いほうが良いだろうと軽い気持ちで不妊治療クリニックを受診した。
不妊治療を行っている施設では大抵そうだと思うが、私達がお世話になったクリニックでは初診時は夫婦揃っての受診が必須だった。結婚していることを確認するために戸籍謄本の提出も要求された。夫婦揃って30分程度のカウンセリングを受け、妊娠の意向や認識のギャップが無いか確認されたのち、まずは不妊の原因となる器質的な異常が無いかの精査に移った。私には内診・超音波検査・ホルモン検査・感染症検査(ここまで保険適用)と自費で抗精子抗体検査が行われ、支払額は約10,000円(自費5,000円)だった。夫も同様に感染症検査(保険適用)と精液検査(自費)を受け5,000円程度支払ったと思う(夫の領収書は処分してしまったので正確な額が記載できない)。
器質的な原因精査は更に続く。月経後に予約をとり、子宮奇形や卵管閉塞の有無を子宮卵管造影検査で確認した。その名の通り経膣的に造影剤を注入する検査である。生理痛よりやや強い程度の痛みが数秒あったがすぐに終わった。同日受けた内診や採血と併せて保険適用だった。更に自費でAMH(卵巣予備能を調べる検査)を施行し、支払額は13,000円(自費4,500円)程度だった。
一連の検査の結果、私は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された。PCOSはごく簡単にいうと排卵しづらい体質ということだ。その他は夫を含め大きな問題は見られなかった。以降は基本的に私のみの受診となる。
問題点がわかったので本格的な治療に移る。まずはホルモン薬の内服と自己注射で排卵と子宮内膜の増生を誘発しながらタイミング法を月経2~3周期分行った。その中でヒューナー検査も行った。ヒューナー検査とは受診日前に性交を行い、頸管粘液内で精子が活動しているか調べる検査である。いずれも保険適用で3週間に1回程度の受診時の負担は4,000~13,000円だった。幅があるのはその後も繰り返し使うことになる自己注射薬が処方された日の支払額が多かったためだ。
初診から3か月、上記のタイミング法で妊娠が成立しなかったため腹腔鏡検査の予定となった。腹腔内に妊娠の妨げとなる癒着やその他の異常が無いか調べるのが主な目的だが、私の場合はPCOSによって卵巣の壁が肥厚していることが予想されたので、そこに穴を開けて排卵し易くする手技も同時に行う。2泊3日の入院での治療だ。全身麻酔なので術中の痛みは全く無かった。術直後は流石に傷が痛かったが、数センチも無い傷が3か所ついただけなのでじきに傷自体もわからなくなった。これも保険適用で高額医療費制度が使えたため、その月の支払い額は食事や部屋代の自費分を含めて10万円弱だった。
手術の結果説明は別日に外来で夫婦揃って受けた。子宮のごく軽度の癒着があったので焼灼し、予定通り両側の卵巣に穴を開ける様子をビデオで説明される。ここまでで妊娠しづらい要素に対する対処はひととおり終わったため、その後3か月は受診なしでタイミング法を継続することとなった。
正直、ここまですればすんなり妊娠成立となるのではないかと期待していたが、残念ながら妊娠には至らず再度受診することになる。再びホルモン内服・自己注射をしながらタイミング法を月経2周期分行ったが結果は同じで、このままタイミング法でねばるか体外受精へ進むかの選択肢を提示された。この時点で初診時から8か月経過しており、やるならば早いほうが良いと判断し体外受精へ進みたいと希望した。
体外受精を行うには、当然ながら事前に採卵が必要である。何度か繰り返す場合も考えて、十分に成熟した卵子を複数個確保しておきたい。そのため、ホルモンの内服と筋肉内注射で採卵日に向けて卵子の成熟を促していくことになる。受診回数も格段に増えるうえ時間指定もあるため、この時期の仕事の調整には難渋した。また、体外受精以降は基本的に自費での治療となる。採卵準備から採卵日前後までの約2週間は2~3日と小刻みに受診し支払い額は14,000~22,000円(自費)程度であった。
採卵自体は日帰り入院で施行された。腹腔鏡の時とは違い沈静下に局所麻酔で行うため完全に意識が途切れるわけではなかったが、特に痛みを感じることなく終わった。同日提出した精液に含まれていた精子は動きが悪かったとのことで、人工的に卵子の中に精子を注入する顕微授精が行われ、全て冷凍保存された。この手技に対する支払額は約40万円(自費)である。
採卵後の状態が落ち着いたら、受精卵を戻した時に着床し易いように子宮内膜が肥厚した状態にもっていく必要がある。ホルモンの内服・貼り薬・膣錠を使用して内膜肥厚を促した。これも自費となるため1週間に25,000円程度かかった。
子宮内膜が成熟したら保存しておいた胚(受精卵)を子宮内に戻す。手技自体は外来で拍子抜けするくらいあっという間に終わった。支払額は約20万円(自費)である。
胚移植後も妊娠が成立するようにホルモンの内服・貼り薬・膣錠を継続した。胚移植後2週間の妊娠判定で陽性となったが、子宮内に胎芽と心拍が確認できるまでは油断できないため、上記のホルモン治療は引き続き行った。心拍はその1週間後に確認され、胚移植後7週後まで安定して見られたため、不妊治療としては卒業、産院へ紹介となった。初回受診から1年強である。
なお、私達がお世話になった不妊治療クリニックでは採卵や胚移植の時には体外受精費用の一部のみを請求し、妊娠成立後に残りを請求する成功報酬のような料金体系を導入しており、卒業時に残りの約30万(自費)支払っている。調べてみたところ国あるいは自治体によっては体外受精の費用を一部助成するところもあるようだが、所得制限がかけられており私達は対象外だった(国の場合は夫婦あわせた所得が730万未満)。

以上、不妊治療にかかった時間と費用は約1年で1,379,474円(保険適用分188,144円、自費1,191,330円)であった。

以下、感想を綴る。
■お金について
私の場合PCOSという診断がついたという点もあるが、現時点で意外に保険適用となる治療が多いんだなという印象だった。不妊治療というと全額自費で何百万もかかるというイメージだったので、ただただ医療保険はありがたいなあと思うばかりだ。特に高額医療費制度は事前に申請さえしておけばいくら実際の医療費がかかろうとも所得に応じた限度額以上の支払いが不要となる。ほんとにいいんだろうかと思いながらお世話になった。
■仕事との両立について
こちらは正直大変だった。めずらしいことではないだろうが、はじめに書いたように我が家は夫婦ともフルタイム勤務でお互い当直業務もある。ヒューナー試験にあたっては受診日前日に夫婦揃って家におり、翌日も私が受診できるという条件が揃わなければ実施が不可能なため、日程・時間調整には難渋した。また、次の受診日がいつになるか診察を受けてみるまでわからないため職場には無理をきいてもらうことも多かった。

これが私の不妊治療の記録だ。妊娠に関してはその後も問題なく経過し、現在臨月を迎えているが健康に産まれてきてほしいと思う。また、現在不妊治療に励んでいる方々、不妊治療を受けようか迷っている方々が無事に妊娠成立となるよう願っている。

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