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茄子とみょうがの大葉和え

スーパーで野菜を物色していた所、てきぱきと歩く女性にふと視線が奪われた。
彼女はわき目もふらず何か小さなパックをかごに入れ、精肉売り場へさっさと進んでいった。去った後の売り場を確認すると、それはどうやらみょうがらしい。148円。広告の品…ではないようだ。しかしその、一切の躊躇いなくチョイスされる野菜としてのみょうがに興味を覚え、私もひとパック買うことにした。

実家でみょうがを食べた記憶が無い。そのため、成人してからもしばらくは曖昧な存在というか、よくわからない野菜の一つだった。未だによくわからない。レシピを探そう。

茄子は一本ある。生姜はもうない。ネギも無いが…大葉を一緒に買っていた。茄子+大葉+みょうがなら間違いは無いだろう。

まずは茄子一本。縦半分に切り、さらに薄めに切り分けていく。これで半月切りらしい。切り方の名前はどれも情緒があって好きだが、名前だけ単品で耳にしても何の参考にもならない節がある。そして逐一動きを描写してみると存外に複雑な工程を経ていたりすることもしばし。切り方の名前にはその工程もすべて込められていると考えると、圧縮言語の一種という気がしてくる。切り方の名前と解説だけで一冊本があれば、初心者には地味に重宝しそうだ。

切った茄子はボウルに入れ、塩を小さじ半分振って混ぜる。ラップで覆い、丼を上に乗せ、丼に水を張る。これで重石の代わり。5分のタイマーをセットしてその間に他へ。
タイマーは最初スマホアプリを利用していたが、調理しながらの操作とスリープ機能付きタッチパネル操作は噛み合いが悪く、百均で小さなタイマーを買って使っている。些細な改善のつもりだったが存外に効果は大きく、カジュアルなタイマーセットのおかげで調理のマルチタスクが捗っている。

閑話休題。次はみょうがを切る。パックには3個入っていたが今回は2個を使って、繊維が強いので細く千切りに。きっちり縦に切っていくと真ん中あたりが長すぎる結果になるので、斜めにしゃくしゃくと切っていく。続いて大葉。10枚入ったひとパッケージ分を全部使う。茎の部分は切って捨ててしまい(レシピだと『軸を落とす』という表現)、そのまま横に千切り。こちらはちょっと太め。こっちも真ん中あたりが長くなるのは変わらないので、最初に縦半分に切っておいてもいいかもしれない。

一息ついていたらタイマーから電子音が鳴る。5分経った。

重石代わりの丼を除け、覆っていたラップ越しに茄子を絞って水気を切る。切ったみょうがと大葉をボウルに足し、うま味調味料を少しと、ごま油を大さじ1も加えて混ぜる。正直最初の塩だけであとは素材の味があれば十分な気もするが、今回はもう少しぜいたくを追加。

東京土産として買っていた「日本の御馳走えん まほうの粉だし」を小さじ半分。

然して完成。

薄い塩味を基調に、あとは香りと食感がメインといった風情の付け合わせに。「箸休め」という言葉があるがまさにその役目に適任で、おかずの合間に一口やればいいアクセントになる。味変せずともメインが飽きない。毎食少しずつ減らしていく運用で1週間分くらいだろうか。

日本酒のつまみにもうってつけだろう。料理酒兼任の小瓶は丁度使い切ってしまっているので、そちらはまた折を見て。

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