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短い記録357:【過去作品再公開】Joy't(ジョイント)4
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※このお話は4話目です。
「わたし、お金ぜんぜん持ってないです……」
「あー、借金の連帯保証人なら、たしかに代わりに払ってもらわないといけないね。でも、嘘の連帯保証人だから、ちょっとちがうよ!」
ウサギさんは明るく続ける。
「ハナエさんには3つの選択肢がありまーす。それではいきまーす。1つめ~、嘘を本当にする。嘘から出た真ってやつだね! 2つめ~、嘘を取り消させる。つまり、嘘がなかったことにしちゃう。そして3つめ~、今はまだナイショ!」
「ちゃんと、順番に説明してください……」
すごく怖いけれど、ちゃんと聞かなくちゃいけない気がする。
「説明してあげたいんだけど、ちょっと今日はここまでみたい! ごめんね、また電話するね!」
ぷつり。
わたしが待ってと答える間もなく、電話は切られた。
どうしよう、こんなこと、誰にも相談できない。
お母さんにもいえない。
そのまま「嘘 連帯保証人」と検索してみる。
予想通り、法律の問題がどうのこうのということが引っかかるばかりで、わたしが今知りたいことは全然見つからない。
携帯がまた光る。
電話!?
慌てて確認したけれど、学校の友だちからのメールだった。
シホちゃんに連絡が取れていないことも気になるけど、今はウサギさんにいわれたことばかりが気になってしょうがない。
そこで気がついた。
シホちゃんちの番号からかかってきたんだから、もう一度わたしがかければまだウサギさんはいるかもしれない。
わたしはまた【シホちゃんち】を押した。
呼び出し音が鳴る。
出て、ウサギさん。
お願い、早く。
祈りもむなしく、呼び出し音が続くだけだった。
「お母さん、連帯保証人ってなったことある?」
「どういう意味?」
「授業で出てきたから」
「ないわよー。お母さんお金持ちじゃないものー、怖くてできないわ」
ごまかして聞いてみたけれど、ほしい答えは返ってこない。
(続く)
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