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さよなら秋。たのしい時にお別れを。

『源氏物語』に「春秋優劣論」というものがあります。
六畳の御息所の息女は、秋がお好き。それ故に秋好む中宮と呼ばれます。
紫の上は春を愛でる人。六条院での彼女の住まいは「春の町」という名に。

う~ん。僕は断然、秋派ですね。
春は花粉症がひどくて…と切実な悩みがありまして。
まあ、そんな世俗的な事情はおいても。

秋から冬にかけての季節は
ものごとには必ず終わりが来るということを
ひしひしと感じずにはいられません。
そこが好いのでしょうね。

秋の一季節を俳句にしました。


   雨去りてがらりと秋の蝉ばかり

   露草や三歩でわたつてしまふ橋

   バス発つや桜紅葉を南北に

   ゆれてゐるいやとばかりにコスモスは

   くちびるに色なき風とパイの皮

   眉うすき今生として秋の蝶

   星月夜水晶ほどにきみは熱し


秋が終われば、冬。
枝は枯れ、根の氷る季節です。
いつか自分というものが消え、人類も消滅する。
その摂理に抵抗のない自分でありたいと思います。

ではまた来週、お目にかかりましょう。


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