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ミュージアムのほとりにて「闘志いだきて」←?

夏井いつき氏の著書『絶滅季語辞典』に
最も長いとされる季語が紹介されています。その音数は25音。

童貞どうていせいマリア無原罪むげんざい御孕おんやどりの祝日いはいび

聖胎祭せいたいさい」(冬)の傍題で、
イエスの母マリアがその母の胎内に宿った日です。
夏井氏は、これを『新日本大歳時記』(全5巻)の中から発見しました。
調べてみると、確かに5巻目207頁に小さな字で載っています。
う~、知らなかったら見逃していました。
夏井氏は〝当然、例句もある筈はなくボーゼンとするしかない〟
と託ちつつも一句。


童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日日和とはなれり    夏井いつき


聖胎祭という祝日を「日和」という言葉で迎え、季語を称えます。
例句がないなら作ってしまえ。
型破りだろうが前進するという気概が、この句の身上です。

そもそも、べらぼうに長いこの25音。
季語にしようと決めたのはいつの時代の誰なのか?
随分と茶目っ気のある人物ではありませんか。
「ほーら、ビックリしろ」という遊び心があります。
挑戦を受けて立つ夏井氏の気概もまた、遊び心。

「制約なんて飛び越えたって俳句は俳句」

遠く離れた(?)二人の間には、暗黙の了解があるようです。


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