【いろは歌】のレシピ~その4~


◎単語を七五のユニットにまとめていく

前項で抜き出した単語をもとに、ここからは七五のユニットを作りながら、【いろは歌の】完成を目指していきます。しかし、いきなり単語同士を組み合わせようとしても混乱するだけですので、またひとつ段階を踏むことにします。

上の図のようの抜き出した単語を何となく意味が通じそうな単語の近くに置いてみます。

『君』『妖艶』『に』

『永久』『の』『恋』『落ちぬ』

『眠る』『夢』

『僕』『を』『誘って』『も』

『末路』『へ』『や』『消せず』

どうでしょう。最後の4つはさほど意味を成しませんが、他の単語は少しずつ形になってきたのではないでしょうか。

しかし、このままでは七五調の【いろは歌】にはなりませんから、字数を調整しながらユニット化を目指し、残しておいた【助詞】の力を借りながら形していきます。

並べたうちから、七五のユニットを組めそうなものを順次クローズアップしていきます。ここでは『ほく』『を』『さそって』と『ようえん』『に』を選ばせていただきました。

『僕を誘って(ほくをさそって/7文字)』『妖艶に(ようえんに/5文字)』

これを更に組み合わせると

『僕を誘って妖艶に(ほくをさそってようえんに/12文字)』

の大きなユニットが完成しました。

2行目が完成しました。繋げてみましょう。

『花開かれたフリージア』
『僕を誘って妖艶に』

かなり形が見えてきましたね。


◎微調整を施す

進展を実感できたところで作業を続けましょう。


次に選んだのは『君』『眠る』『夢』と『永久』『の』『恋』です。

『君眠る夢(きみねむるゆめ/7文字)』『永久の恋(とわのこい/5文字)』

例によって七と五のユニットになり得るこれらを組み合わせます。

『君眠る夢 永久の恋(きみねむるゆめとわのこい/12文字)』

3行目までできました。次で最後です。しかし、ここで問題があります。

作っておいた単語を組み合わせるだけでは、どうも上手くユニットが組めないのです。

まずはユニットの組めそうなものだけ選びます

『落ちぬ』『末路』『も』です。落ちぬを4行目の冒頭に持ってくることで、3行目の末尾に置いた『恋』にかけられる効果が得られます。あくまで【いろは歌】は詩歌和歌の範疇にあるものですので、細かいところにも留意します。

本題に戻りましょう。


残ったのは『けせす』『も』『や』になりました。これらをこのまま利用しても、どうも上手くいきそうにありませんね。

ここで採るべく選択肢は大きく3つです。

1.残った単語を分解して文字に戻し、新たな単語に構築する。
2.すでに出来上がっている箇所も含めて再構築を目指す。
3.諦めてゼロからやり直す。

採ることが多いのは2番だと思います。たいていは1回では上手くなんていきません。頭の中で思考をグルグル回しながら、何度も何度も文字の山と格闘し続けるのが【いろは歌】の大半だからです。
次に多いのが3番ですね。やってもやってもダメな時は諦めるが勝ちです。時間をおいて、日を改めて、新たにチャレンジする勇気だって必要なのです。しかし当コラムは筆者の過去作品を基にしており、解決策が存在しています。迷わず1番の選択を採らせていただきますね。

まずは『けせす』を『け』『せす』に分けてみます。それをあーでもないこーでもないと。何度も並べ替えて考えます。

『や』『け』『も』『せす』

何度も並べ替えているうちに、ピンとくる順番に出会えることがあります。

『やけ』『も』『せす』

『やけもせす』『やけもせず』『焼けもせず』

意味のある言葉のユニットが作れました。

これを組み合わせてみましょう。

『落ちぬ末路に』『焼けもせず』

『落ちぬ末路に焼けもせず(おちぬまつろにやけもせす/12文字)』

ようやく4行目まで出来上がりました。これで大方の作業は終了です。

次項ではこの4行のユニットをきちんと【いろは歌】に仕上げる最終段階に入ります。

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