【いろは歌】のレシピ〜その1~


◎【メインワード】を決めよう

当コラムの筆者であるK−RYOは詩人なので、詩を書くのと同じような理屈と手段で【いろは歌】を組み立てていきます。最初に必要なのは作品の核となる【メインワード】を決めることです。個人的には、これを決めると決めないとでは作成の進捗加減に雲泥の差が出ます。なので、まずは【メインワード】となる単語を選ぶことからはじめていきます。


何でもいいと言ってしまえばそれまでなのですが、「この言葉をテーマに作品を作ろう!」というモチベーションの基準になりますので、愛着の持てる言葉を選んでみてください。

そして大切なのは、作成する【いろは歌】が七五調12文字を一つのユニットと考えて進めていかないといけないということです(詳細は次項で具体的な過程を踏まえてご説明いたします)。ですから【メインワード】はユニットの中に組み込める文字数(最大12文字まで。できれば7文字以内を推奨)に収めましょう。

それでは早速はじめていきますね。


◎【メインワード】を決めていく

前項で説明した扱いにくい文字のひとつである「ー」をさっさと使っておきたいなあと思うので、カタカナの単語を据えてみます。花がいいなあ。よし、決めた。『フリージア』にしよう!

このようにアプリで文字の山から『フリージア(ふりーしあ)』を取り出します。さあ、ここが全ての始まりとなります。ワクワクしてきましたね。

◎連想する言葉を集める

『フリージア』をメインに作業を進めていくために、フリージアから連想する言葉を文字の山から抜き出してみましょう。

ひとまず、『花(はな)』『咲く(さく)』『開け(ひらけ)』の3つを選んでみました。花である『フリージア』から簡単に連想できるものですね。

ここで大事なのは、これがパングラムであること。たとえば『さ』を選べば『ひら』を選べないということ。たとえば下の画像のように『さいた』と『ひらく』には変更可能だということです。

パングラムにおいて大切なのは、現在文字の山にどの文字が残っているのかを把握しておかないといけないということです。

それらを踏まえて、『花(はな)』『咲いた(さいた)』『開く(ひらく)』に変更した状態で作業を進めていきます。

次は作品に物語性を与えるための言葉を選んでみましょう。

『花』をモチーフにした『僕』と『君』の『恋』なんかはいかがでしょう。素敵ですよね。では、文字の山から該当する文字を抜き出してみます。

『恋(こい)』『君(きみ)』『僕(ほく)』を選びました…って、あれ? 

『きみ』は問題ありませんが、『こ』と『ほ』は先に選んでいた『さた』と『ひら』と文字かぶりをしていますね。

これは【いろは歌】を作成するうえで一番の課題となります。そうです。文字ひとつにつき使えるのは一回だけという最大にして最強のルールなのです。数多のいろは歌人たちを跳ね返してきた壁なのです。

だから対策を講じます。

『咲いた』『開く』などの動詞ならば連用することで他の文字で代替できるのですが、『恋』と『僕』は名詞なのでこのまま使うしかないということです。

ここは『恋』『僕』を優先に考えます。

ひとまず『咲いた』を『咲け』に、『開く』を『開かれ』に変えました。そのおかげで新たに『恋』『君』『僕』を手に入れました。

主要な言葉が少しずつ揃ってきております。次項ではこれらをどう組み合わせていくのかという、更に実践的な言葉を選ぶ作業に移りたいと思います。

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